http://shuppan.sunflare.com/iwasaka/dai_13.htm
第13回 著作権と印税
昨年10月に米グーグルの「グーグルブック検索」をめぐる著作権侵害訴訟が和解に達しました。直接的には和解の効力は米国内からの検索のみにとどまるとのことですが、実質的には私を含めて世界中の著作権者に影響が及ぶことになるはずです。一部の出版社からは、すでに対応についての告知が私にも届いております。
印税で、つまり著作権の保護制度のもとで食べている者にとって、自分の作品が簡単にタダ同然で読まれてしまうというのは死活問題です(誤解のないように申し上げますが、グーグルブックでは著作権保護期間中の著作物の全文閲覧はできません。しかし、将来的にグーグルが目指しているのは、世界中の情報を検索可能にすることです)。
では私もこうした動きに反対かというと、実はそうでもありません。グーグルの理念に共感できる面があるということもありますが、それよりも、ミもフタもない言い方ですが、私がそもそもそれほど印税で食べているわけではないという現実があるからです。私が専門にしているような学術系や教養系のノンフィクション書籍の部数というのは、増刷を含めてもせいぜい数千部で、1万を越えたらヒットと言えます。余裕のある版元で7%、8%の印税をいただけたとしても、一般向けの書籍は定価3000円くらいが限度ですから、トータルで100万円を超えれば御の字、ふつうは1冊数十万円という計算になります。いっぽう、学術系の、文献の出典をあたったり索引を作ったりするようなタイプの本ですと、10万ワード程度でも2か月や3か月では終わりません。ものによっては半年以上かかります。印税だけだと、年収200万になるかどうか。食べていける数字ではないのです。この分野の知り合いの翻訳家はたいてい、他の収入源(配偶者を含む)を持っています。
なるほど、イメージと実際はだいぶ違うんだなぁと思いました。
返信削除本を出すだけでもすごいなぁと思いますけど、出してるからと言ってうまくいってるっていうわけでもないんですね。
アート系で、大儲けしているのは、ごく一部の人
返信削除大半は、食えるか食えないか、ギリギリでやっています
作家や翻訳家に限らず、ミュージシャン、絵描き、役者、芸人なども、似たような状況だと思います