2020年8月19日水曜日

劇場(金融公社)

資料館、博物館、美術館なども劇場の一種です。観客がいなければ意味がない。
コロナとは関係なしに、適者生存、自然選択です。
倒産、廃業、解雇などはいつでもあり得る。

全国の平和資料館 4割近くが財政的苦境に 新型コロナ影響
2020年8月18日 22時57分

新型コロナウイルスの感染拡大によって、戦争や平和をテーマにした全国の資料館の4割近くが入館料収入の落ち込みなどで財政的に厳しい状況に置かれていることが、関係者で作る団体の調査で分かりました。調査にあたった専門家は「予想を超えた深刻な事態で、若い人の助けを借りながら新しい方法を開拓することが重要だ」と指摘しています。

この調査は、平和資料館の関係者で作る団体「平和のための博物館国際ネットワーク」が戦後75年の節目に合わせて行い、先月、全国の90の資料館に調査票を送ったところ、6割余りに当たる57の施設から回答を得ました。

この中で、新型コロナウイルスが施設の今後の計画にどのような影響を与えたか、複数回答で尋ねたところ、感染拡大によって入館料やグッズ販売などの収入が落ち込んだことで「財政上の困難に直面した」と答えた施設が4割近くにあたる21か所に上り、「閉館も検討せざるをえない状況に陥った」という施設も5か所ありました。

また、戦後75年の企画の実施の有無を尋ねたところ、計画していると回答した32施設のうち、新型コロナウイルスの影響で「中止した」が14か所、「延期した」が5か所ありました。

一方で、感染拡大後に資料館が行った対応や工夫として、SNSなどで展示品を紹介したり、オンラインで戦争体験者や学芸員の話を聞くことができる機会を設けたりするなど、新しい発信への関心が広がっていることも分かりました。

調査にあたった立命館大学国際平和ミュージアムの安斎育郎名誉館長は「予想を超えた深刻な事態で、このまま厳しさに負けて何もしないと本当に廃れてしまい、平和博物館としての社会的機能が果たせなくなってしまう。若い人たちの助けを借りながら新しい方法を開拓していくことが重要だ」と話しています。
主な回答結果
今回のアンケート調査の主な回答結果です。
質問の文言は一部変えているところがあります。


▽戦後75年のことし、何か企画を計画していましたか。

・企画なし(18)
・企画あり(32)
・通常展示の一環として開催、または企画検討中(5)


▽企画ありと答えた施設にうかがいます。新型コロナウイルス感染が拡大する中で、記念計画は実行されましたか。

・予定どおり実施した(8)
・中止せざるをえなかった(14)
・内容を変更して実施した(16)
・延期した(5)
・今後検討する(6)

▽新型コロナウイルスは今後の影響に影響を与えましたか(複数回答)。

・将来計画に影響はない(10)
・財政上の困難に直面した(21)
・閉館も検討せざるをえない状況に陥った(5)
・「3密」対策などの感染防止対策の充実・整備に迫られた(35)
・参観者を迎えるだけでなく博物館・資料館の情報や思いを
 積極的に発信する重要性を認識した(21)
・その他(12)

オンラインで戦争体験発信
名古屋市にある「戦争と平和の資料館ピースあいち」では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってことし4月から2か月間臨時休館を余儀なくされ、6月に再開したあとも来館者数が例年の4分の1ほどに落ち込んでいるということです。

また、ことしの夏に戦後75年に合わせた企画展を計画していましたが、準備が間に合わず、来年に延期せざるを得なくなりました。

感染拡大によって平和資料館としての役割をどう果たしていくかが課題となる中、ピースあいちでは新しい方法を使っての発信を模索しています。

毎年夏に行っている戦争体験者が当時の体験を語り継ぐ催しを、今月8日、初めてオンラインで開き、愛知県豊川市で空襲を経験した都築基雄さん(89)がビデオ会議システムを使って当時の経験を語りました。

参加者はこれまで、ほとんどが愛知県内からでしたが、今回は県外や子どもの参加が大幅に増えたということで、東京から参加した小学4年の女の子は「戦争が怖いことがよく伝わり、とても勉強になりました」と話しました。

都築さんは「オンラインという形を使ってでも、戦争の悲惨さを1人でも多くの人に語り継いでいきたい」と話していました。

ピースあいちの宮原大輔館長は「戦争体験を語り継ぐ活動はこれからも続けなければならない。コロナがどうなるにせよ、いろいろ新しい形の取り組み、企画を考えて、むしろこれまでと違うスタイルの戦争の継承というものを追求していきたい」と話していました。
クラウドファンディングに思わぬ反響が
経営難に陥ったことからクラウドファンディングで寄付を募ったところ、思わぬ反響が寄せられた資料館もあります。

那覇市にある「不屈館」は、アメリカ占領下の時代に那覇市長を務め、本土への復帰運動に尽力した瀬長亀次郎の功績とともに、沖縄の戦後史を学べる施設として平成25年にオープンし、県外からの観光客を中心に毎月500人ほどが訪れていました。

しかし、新型コロナウイルスの影響でことしの上半期の入館者数が前の年の同じ時期と比べて8割余り減少し経営難に陥ったことから、ことし6月にクラウドファンディングを立ち上げ、インターネット上で寄付を呼びかけました。

すると「コロナに負けないでほしい」とか「絶対になくしてはならない」などの応援メッセージとともに全国から支援が寄せられ、開始からわずか1か月で目標金額の500万円に到達しました。

また、若い人たちにも資料館のことを知ってもらおうと、SNSを開設して展示資料や館内で販売しているグッズの情報を発信したところ、若い世代を中心にTシャツや人形などの商品を購入したいという要望が全国から寄せられたということで、資料館は、オンラインでの販売に向けて準備を進めています。

不屈館の内村千尋館長は「ほとんど客が来ない状態が続き、今後どうするんだろうと悩み、大変な思いをしていました。そんな中で全国から多くの支援をいただき、希望が見えてきたという思いです。今後に向けてオンライン発信など今までとは違う方法を考える必要があると思っています」と話していました。

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