2014年6月20日金曜日

紅楼夢

読んでみます。



紅楼夢(こうろうむ、繁体字紅樓夢簡体字红楼梦ピン音: Hóng Lóu Mèng; ウェード式: Hung Lou Meng)は、清朝中期乾隆帝の時代(18世紀中頃)に書かれた中国長篇白話小説。作者は曹雪芹とするのが定説だが、別人であるとする異説もある。『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』とともに旧中国の傑作古典小説に数えられ、「中国四大名著」とも言われる。石頭記(せきとうき・いしき)ともいう。


上流階級の賈氏一族の貴公子賈宝玉(か・ほうぎょく)を主人公とし、繊細でプライドの高い美少女の林黛玉(りん・たいぎょく)、良妻賢母型の薛宝釵(せつ・ほうさ)の三角関係を軸に展開する。小説は上流階級の生活の細部を描き、主人公たちの交情を克明に記しながら進行する。清代末期から紅楼夢を専門に研究する学問を紅学といい、この言葉は現代でも使用される。毛沢東も愛読し、1950年代の中国で紅楼夢論争も戦わされた。現代中国でも非常に有名な小説であり、映画や演劇、テレビドラマ化されることが多い。
この小説の特徴はストーリー中心のロマンではなく、大貴族の深窓の令息令嬢の心理のひだが繊細に描きこまれていることにある。士大夫経世済民という表向きの世界ではなく、弱くて感じやすい「児女の情」をテーマとするといえる。三国志演義の「武」、水滸伝の「侠」に対して紅楼夢は「情」の文学であるとされる。その一方で、主人公たちは儒教道徳や官僚の腐敗、不正に対する痛烈な批判を口にしており、乾隆盛世と呼ばれた当時の社会に対する批判的色彩も帯びている。また、当時の上流階級の日常生活が登場人物400人を超える規模で細部まで克明に描かれており、文化史的にも価値があるとされる。男女の人情を描いた中国の長篇小説としては金瓶梅に次いで古いものであるが、恋愛模様がプラトニックに徹しており情感も洗練を極めている点において好対照の位置にある。
作者とされる曹雪芹についてはよくわからないことが多い。雪芹は字で、名は霑(てん)という。曹雪芹の祖父は康熙帝の時代に江寧織造として江南で清朝のために情報収集活動を行っていた曹寅という人物である。康熙帝の寵愛を得て莫大な富を蓄積し、曹雪芹の父もその職を継いだが、雍正帝の時代になると寵愛は失われ、家産は没収された。一家は後に北京に移り、曹雪芹が紅楼夢を書いた18世紀半ばにはを啜るような窮貧生活であったとされる。

賈宝玉は、祖先の勲功により代々高官を出し、皇室の姻戚でもある賈氏一族の貴公子である。賈宝玉は勉学が嫌いで、豪邸に同居する美少女たちと風流生活を送る。賈宝玉は趣味の合う美少女、林黛玉と相思相愛の関係となるが、お互いの気持ちをうまく伝えられない。だが、二人はお互いに引かれながらも、ささいな嫉妬から大喧嘩をし、結局病弱な林黛玉は悲しみを抱いて死、賈宝玉は「金玉の縁」で結ばれた温和な良妻賢母型の薛宝釵と結婚する。賈家は権勢を嵩に民衆を苦しめた罪で家産を没収され没落し、人々も離散していく。

主人公[編集]

賈宝玉(か・ほうぎょく)
主人公。才能はありや恋愛小説(当時小説や戯曲は下等なものとされていた)には興味を示すが、科挙方面の勉学は大嫌いで、詩の腕も黛玉や宝釵には及ばない。「女の子は水で出来た体、男は泥で出来た体」といってもっぱら一族の美少女・美女たちを相手に様々な趣きの交際や交流を楽しんでいる。黛玉を好きだが素直になれず時々悲しませたり泣かせたりしてしまうこともある。海棠詩社でのは怡紅公子。

金陵十二釵[編集]

十二人の主要美少女・美女。
林黛玉(りん・たいぎょく)
宝玉の従妹で幼なじみ。詩才と機知に富む一方病弱で繊細。厭世的悲観的かつ神経質で極めて感受性の強い美少女。宝玉が好きだがプライドが高いためか素直になれない。西施趙飛燕にたとえられる華奢で嫋やかな儚げな美貌。西施同様よく眉を顰めている。海棠詩社での号は瀟湘妃子。
薛宝釵(せつ・ほうさ)
メインヒロインその二。宝玉の従姉。健康優良、頭脳明晰、人格円満、優等生タイプの少女。詩も学問も人に優れてよくできるが、それらが女性にとって価値があるものとは思っていない。兄夫婦は共にステレオタイプの極悪人。林黛玉とは正反対の楊貴妃にたとえられる肥満体で大らかで華やかな容姿。黛玉とはよく対比され、中国には「恋をするなら林黛玉、妻にするなら薛宝釵」というフレーズもあるという。
史湘雲(し・しょううん)
賈母の実家である史家の一族の少女。両親を早く亡くして叔父に養われているが、快活で率直な物言いをする。海棠詩社での号は沈霞旧友。
王煕鳳(おう・きほう)
宝玉の伯父賈赦の息子の妻。宝玉の母方のいとこでもある。賈家随一のやり手で、気が強く頭脳明晰。奥向きの采配を一手に引き受ける実力者。あまり学問はない。
秦可卿(しん・かけい)
宝玉の曾祖父初代栄国公の兄初代寧国公の玄孫の妻。従って年上ながら宝玉を「おじさま」と呼ぶ。優しく落ち着いた人柄で「黛玉と宝釵の長所を併せ持つ」と讃えられ、誰からも慕われる佳人。「の賈珍と密通していたという描写があったが作者が思い直して削除した」という説もあり、謎の多い人物。
賈元春(か・げんしゅん)
宝玉の同母姉。皇帝に召されて貴妃となった。後世の解釈で曹雪芹の生家曹家を庇護していた康煕帝に対比されることがある。里帰りする元春を迎えるために大観園が造営された。
賈迎春(か・げいしゅん)
賈赦の娘(宝玉のいとこ)。善良だが無力な人物。海棠詩社での号は菱洲。
賈探春(か・たんしゅん)
宝玉の異母妹。賢明で詩才のある美少女で、異母兄宝玉とも親しくしている。同腹の弟がいるが、こちらは愚鈍で母共々なにかと宝玉を陥れることを考えており、探春とはあまり仲が良くない。大観園詩社海棠詩社)が結成されるのは探春の呼びかけによるもの。詩社での号は蕉下客。
賈惜春(か・せきしゅん)
賈珍の妹。潔癖症で、兄に代表される屋敷の淫蕩な空気を嫌っている。絵心があり、大観園の絵図を描いたことがある。
妙玉(みょうぎょく)
有髪の尼僧。聡明にして文筆の才あり若くして大観園内の草庵に庵主として招かれたが性狷介、俗人と交わるを潔しとしない孤高の美少女。
賈巧姐(か・こうしゃ)
王熙鳳の娘。名前は、劉ばあさんが名づけた。
李纨(り・がん)
寡婦。

その他[編集]

襲人(しゅうじん)
宝玉付きの侍女。宝玉の初体験の相手でもあり、正式では無いが宝玉の役でもある。侍女連の筆頭格。主人思いの良識的な人格者だが、その「主人思い」はえてして「宝玉に科挙方面の勉強に打ち込んでもらおう」という方向に発揮される。本名は花珍珠で、宝玉が陸游の詩にちなんで襲人と命名した。
平児 (へいじ)
王煕鳳付きの侍女の筆頭格。有能で情け深い人柄で煕鳳の秘書役もこなす。煕鳳の勧めでその夫のの立場になったが、これは煕鳳が嫉妬深い本心を隠すためにやったことで(男子が出来ない妻が妾を夫に勧めるのは旧中国では婦人の美徳の一つであった)、それを心得てめったに同衾せず侍女の分を守っている。
賈母 (かぼ)
宝玉の祖母(宝玉の父賈政の母)。一族の最長老で最高実力者。宝玉を溺愛しており、賈政が宝玉に厳しくできないのは賈母を恐れてのことである。信心深い。平凡社ライブラリー版では「後室」と訳されている。
劉ばあさん(りゅう・ばあさん)
賈宝玉の母王氏の遠縁の家に娘を嫁がせた老女。わずかな縁を頼りに賈家を訪れ、機知が受けて援助を引き出す。
賈政(かせい)
宝玉の父。賈母とその夫賈代善の次男。謹厳な人物で、宝玉が勉強に熱心でないことはよく思っていないが、官職が多忙であることと賈母が宝玉を溺愛していることから半ば放任状態。
賈赦(かしゃ)
宝玉の伯父。賈母とその夫賈代善の長男。好色で賈母も「いい年をして」とあまりよく思っていない。賈母お気に入りの侍女をにもらい受けようとして大騒ぎを引き起こしたこともある。
賈敬(かけい)
宝玉の祖父である栄国公賈代善の従兄弟である寧国公賈代化の子。物語の時点では隠居の身で、郊外の道教寺院で仙人修業に凝っている。俗塵を嫌うと称して自分の誕生祝いの宴会にも出て来ないほど。
賈珍(かちん)
賈敬の子で寧国府の当主。威烈将軍の職にあるが戦争に行っている様子は全くない。こちらも好色漢で息子の嫁や妻の妹にまで手を出している背徳的な人物。

0 件のコメント:

コメントを投稿