「スーパーシティ法案」成立 日本はどう変わるのか?
2020年05月29日
酒井 大輔 日経クロストレンド 記者
AI(人工知能)とビッグデータを活用し、自動運転やキャッシュレス、遠隔医療や遠隔教育など、生活全般をスマート化した“丸ごと未来都市”を構築する「スーパーシティ法案」が成立した。スマートシティではなく、スーパーシティと銘打った法案は、日本をどのように変えようとしているのか。また、課題は何なのか。その中身を詳しくひも解いた。
スーパーシティとは何なのか。内閣府が20年3月に公表した構想案によると、「移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ゴミ、防犯、防災・安全の10領域のうち少なくとも5領域以上をカバーし、生活全般にまたがること」「2030年頃に実現される未来社会での生活を加速実現すること」「住民が参画し、住民目線でより良い未来社会の実現がなされるようネットワークを最大限に利用すること」という3要素を満たす都市と定義されている。
従来のように個別分野に特化して実証実験を進めるのではなく、自動運転や完全キャッシュレス決済、ドローン配送、行政手続のワンスオンリー化(一度提出した資料は、再提出する必要がない仕組み)、遠隔教育や遠隔医療など、暮らしに直結する複数の分野にまたがってデジタル化を推進することで「2030年の暮らし」を先取りする。技術者や企業目線ではなく、住民目線でよりよい未来を目指す点でも、従来の街づくりとは一線を画する内容となっている。少子高齢化や過疎、空き家問題といった地域が抱える諸課題を、日本の最先端技術と大胆な規制改革を総動員して解決しようという試みだ。
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