訳本企画書 2006/08/21
翻訳人 青柳洋介
【レジュメ】
■ 目次:
前書き
本書の目的
序文
はじめに
パーマカルチャーの妥当性
観察し実行する
エネルギーを捉えて蓄積する
産物を得る
自己統制しフィードバックする
再生可能な資源とサービスを使い価値を見出す
無駄をしない
パターンからディーテールをデザインする
分離するよりも統合する
小さくゆっくりした解決策を使う
多様性を使い価値を見出す
辺縁を利用し境界に価値を見出す
変るために創造的に使い実践する
あとがき
参考文献
索引
■ 概要:
著者が25年かけて行なったパーマカルチャーの経験に基づいて、農業を中心にすえたライフスタイルを実践するために、パーマカルチャーの原理と指針をまとめた。特に、化石燃料の枯渇によるエネルギー不足、および環境問題の観点から考察している。これらの問題を克服し、持続可能な社会にしていくための指針を与えている。
哲学的な枠組み、全体論的なデザインの科学、エコロジカルな精神などについて、注力して述べている。御社で出版済みの『パーマカルチャー』の第一章に新たなコンセプトを付加して、詳細に渡って理論的・具体的に説明している。
■ 推薦する理由:
1991年刊行の”Introduction To Permaculture”の訳書『パーマカルチャー』が、御社から出版されています。企画本はその延長線上のもので、2002年に刊行されました。
近年、食や環境問題にたいする関心が高まっている。有機農産物や無農薬野菜、減農薬米などを求める消費者が増加している。また、石油価格が高騰しているし、「もったいない」を合言葉にして環境問題への取り組みも盛んになってきた。既刊本はパーマカルチャーの具体例という趣だが、一方、企画本はより広い視点に立って理論的な背景を示している。特に、化石燃料の枯渇や土壌への蓄積など、エネルギーについて深く考察している。日本の農業やライフスタイルの枠組みの中で、パーマカルチャーのコンセプトを適切に応用する場合に、本書が役に立つ。
【試訳】
原文:
Preface
Permaculture in an Uncertain Age
Uncertainly is one of the defining characteristics of our age. Contributions to this sate of affairs come from diverse sources.
● Theoretical science has elevated uncertainty from simply a result of inadequate information to something which is inherent in everything.
● The clash between the world’s multifarious cultural traditions and modernity leaves most people unsure of their values and their role in society.
● The avalanche of evidence and information about the impermanence of almost every aspect of modern society and economy, especially due to looming environmental threats, undermines any sense of certainty about the continuity of everyday life.
● At the same time, accelerating technology and the emergence of endless new ideas, ways of seeing and being, movements, spiritual pathways and subcultures have expanded possibilities, hopes and fears beyond previously imaginable horizons.
The permaculture concept and movement are part of this global cultural reality, which some call post-modernism, where all meaning is relative and contingent.
The permaculture concept was a product of an intense but relatively brief working relationship between Bill Mollison and myself in the mid 1970s. It was a response to the environmental crisis facing modern society. The publication of Permaculture One in 1978 was the culmination of that initial work and a starting point of both the evolution of the concept and emergence of the worldwide permaculture movement.
Bill Mollison has described permaculture as a “positivistic” response to environmental crisis. That means it is about what we want to do and can do, rather than what we oppose and want others to change. This response is both ethical and pragmatic, philosophical and technical.
Like all ideas, permaculture is founded on some fundamental assumptions that are critical to both understanding and evaluating it. The assumptions on which permaculture was originally based were implied in Permaculture One and worth repeating.
訳文:
序文
不確実性の時代におけるパーマカルチャー
不確実性は現代の明らかな特徴のひとつである。このような状況に適切に対処するには、多様性がカギとなる。
● 理論科学は、すべてに連なる不適切な情報を与えて、不確実性を増大させているだけだ。
● 多種多様な文化的伝統と現代性が矛盾を起こしているために、ほとんどの人は社会における自分の価値観と役割に確信が持てなくなっている。
● 現代の社会と経済があらゆる局面で一時的な痕跡や情報を大量に流すため、さらに環境に対する脅威が目の前に立ちはだかっていて、日々の生活に確かな継続性を感じられなくなっている。
● 同時に、テクノロジの進歩が加速し、アイデア、見方や在り方、動き、精神の方向性、サブカルチャーが新たに際限なく現れるために、かつて想像できた水平線を飛び越えて、可能性、希望、恐れが膨らんでしまっている。
パーマカルチャーのコンセプトとムーブメントは、このグローバルなカルチャーのリアリティの一部であり、ポストモダン主義とも称され、その意味は相対的で偶発的である。
パーマカルチャーのコンセプトは、1970年代半ばに、私とビル・モリソンの間で濃密だが短期間の仕事によって産まれた。それは、現代社会が直面する環境危機に対する応答だった。1978年の”Permaculture One”の出版は初期の仕事の中で頂点だった。ここから、パーマカルチャーのコンセプトの進化と全世界的なムーブメントが始まった。
ビル・モリソンはパーマカルチャーを環境危機に対する積極的な応答だと述べた。その意味は、反対することや他を変えようとすることではなく、自分たちがしたいことやできることをする、ということだ。この応答は、倫理的かつ実存的、哲学的、技術的だ。
あらゆるアイデアと同様に、パーマカルチャーは理解と評価に対して批判的であるという根本的な前提に基づいている。パーマカルチャーが当初基づいていた前提は、”Permaculture One”に含まれており、再び使う価値があった。
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