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2020年6月8日月曜日

野生のイルカとふれあう

立派な本ですが、日本では黒字が出ないので企画が通らなかった。
Kindleのパーソナルドキュメントで出版配布した。
もはや本の出版は終わった。ブロガーになった。
あお文庫 黄本 > オリジナル本
あお文庫 緑本 > 翻訳本



野生のイルカとふれあう



グレイトシステム


ペルシャの王と海の王女


2017年7月6日木曜日

老人と海

老人と海は出版しません。






        老人と海

        ヘミングウェイ 作

        青柳洋介 訳


 老人はひとりで小舟で釣りをしていた。場所はガルフストリーム(メキシコ湾流)だった。八十四日間、一匹も釣れなかった。最初の四十日間は、少年が老人といっしょだった。四十日たっても、一匹も釣れないので、少年の両親が言った。老人は究極のサラオだ。つまり、もっとも不運だ。両親は少年にほかの舟に移るように言った。その舟では最初の一週間で大物が三匹釣れた。毎日、空舟で戻ってくる老人を見て、少年は気の毒に思った。少年は釣り糸や魚かぎやモリ、そして帆が巻き付いたマストを運ぶのを手伝った。巻き付いている帆は粉袋でつぎ当てされていて、それは永遠の敗北を示す旗のように見えた。
 老人は痩せていた。首の後ろには深いしわがあった。頬には熱帯の海の反射がもたらした茶色のしみがあった。しみは顔の両側にあった。重たい魚を扱うので、手には傷跡があった。でも、それは古傷だった。魚がいない砂漠にある古い浸食のようだった。
 老人のあらゆるものは衰えていたが、目だけは違った。海と同じ色で、生気があり、不屈の精神を表していた。
 
 少年が言った。

 「サンチアゴ、またあんたといっしょにやりたい。おいらは金を稼いだ」

 老人がその少年に魚釣りを教えた。少年は老人を愛していた。

 老人が言った。

 「ダメだ。あんたはラッキーな舟に乗っている。それでやってな」

 「八十四日間も、一匹も釣れなかった。おいらは三週間毎日、大物を釣ったよ」

 老人は言った。

 「確かに。だからと言って、あんたが俺の舟を降りたのではないことも分かっているよ」

 「パパがそうしろと言ったんだ。僕は子供なので、パパには逆らえない」

 老人は言った。

 「分かっているさ。当たり前の話さ」

 「パパはそんなに信頼できない」

 老人は言った。

 「そうかもな。でも、俺たちは信頼し合っているよな?」

 少年が言った。

 「うん、テラスでビールを注文しようか? その後で、食い物を家に持って帰ろうよ」

 老人は言った。

 「いいよ。漁師仲間だからな」

 ふたりはテラスに座った。漁師の多くが老人をからかった。でも、老人は腹を立てなかった。老人を見て、気の毒に思う年配の漁師もいた。でも、彼らは気の毒なそぶりを見せずに、実際にあったことを話した。潮流や釣り糸を流す深さや安定した天候などのことを熱心に話した。その日、釣果があった漁師はすでに陸に上がっていた。釣ったカジキを解体して、二枚の厚板にカジキを乗せて、ふたりの男がよたよたしながら、魚小屋へ運んだ。ふたりはハバナの市場へ運ぶ保冷車を待っていた。サメを釣った者たちは、サメを入り江の反対側にある工場へ運んだ。サメは作業台で解体された。内蔵を取り除き、ひれは切り落とし、皮をはぎ、塩漬けするために肉は短冊に切った。
 東風の時は、港を超えて、工場から臭いが漂ってきた。その日は、悪臭はかすかだった。北風だったが、その時は風は止んでいた。テラスには日が燦々と入っていた。

 少年が言った。
 「サンチアゴ」

 老人が言った。

 「うん」

 老人はグラスを手に持って、昔のことを考えていた。

 「明日のイワシを捕ってこようか?」

 「いいや。野球をしに行きな。わしはまだ舟をこげる。ロゲリオが網を投げる」

 「おいらは捕りに行きたいよ。あんたと釣りができないなら、何か手伝いたいよ」

 老人は言った。

 「あんたはわしにビールをごちそうしてくれた。あんたはもう大人だ」
 
 「あんたが初めて舟に乗せてくれた時、おいらは何歳だったっけ?」

 「5歳だよ。あんたは死にそうだったよ。あまりにも生きがいい魚を釣ったんで、舟が壊れそうだった。覚えているかい?」

 「覚えているよ。魚が尻尾をバタバタさせて、舟の横木が壊れて、バンバンと音がした。あんたはおいらを舟のへさきへ放り投げた。巻いた釣り糸があった。舟全体が震えていた。あんたが魚をバンバン叩いた。木を叩き切るような音だった。甘い血の匂いが充満した」

 「本当に覚えているのかい? わしがあんたに話したんじゃなかったけ」

 「初めて舟に乗った時から、全部覚えているよ」

 老人は陽で焼けた愛情に満ちた目で少年を見た。そして、老人は言った。

 「あんたがわしの息子なら、あんたといっしょに釣りに出るんだが。でも、あんたはパパとママのものだ。あんたはラッキーな舟に乗っている」

 「イワシを捕ってこようか? 四匹」

 「昨日のエサが残っているよ。塩漬けにしてエサ箱に入れている」

 「新鮮なやつを捕ってくるよ」

 老人は言った。

 「一匹」

 老人の希望と自信は消えていた。でも、今は希望と自信がそよ風のように湧いてきた。

 少年は言った。

 「二匹」

 老人は頷いた。

 「二匹。盗むのか?」

 少年は言った。

 「盗みたいけど、捕るよ」

 老人は言った。

 「ありがとさん」

 老人はとても素直だったので、屈辱を感じなかった。だが、それが屈辱であることも分かっていたが、みっともないとは思わなかったし、本当のプライドは傷つかなかった。

 老人は言った。

 「明日は、潮の流れが良いようだ」

 少年が尋ねた。

 「どこへ舟を出すの?」

 「風が変わったら、ずっと遠くへ出る。風が弱まらないうちに舟を出したい」

 少年は言った。

 「親方を遠くへ出させよう。大物がかかったら、手伝いができる」

 「あんたの親方は遠くに出るのが好きではない」

 少年は言った。

 「うん。親方は鳥のようには見えないので、おいらが見る。親方にイルカの後を追わせよう」

 「親方の目はそんなに悪いのかい?」

 「ほとんど見えないよ」

 老人は言った。

 「それは変だな。親方はカメ捕りには行かなかった。カメ捕りは目を悪くする」

 「でも、あんたはモスキート・コーストへ何年もカメ捕りに行った。あんたの目は大丈夫だ」

 「わしは変わった老人さ」

 「でも、あんたは今でも大物を狙うだけ強いよね?」

 「そうだが。それにはタネも仕掛けもある」

 少年は言った。

 「食い物を家へ持って帰ろうよ。おいらは投網を持って、イワシを捕りに行く」

 ふたりは舟から道具を降ろした。老人は肩にマストを担いだ。少年は茶色の釣り糸が入った箱と魚かぎとモリを運んだ。エサ箱はこん棒といっしょに舟のともの下に置いてあった。こん棒は大物が釣れた時に処置するのに使う。盗む者はいなかったが、帆と釣り糸は露が付くと良くないので小屋に持って帰った。地元の人が盗むとはまったく思っていなかったが、魚かぎとモリも舟に置いたままにするのは良くないと思っていた。
 老人と少年は小屋へ向かって歩いて、開け放しのドアから中へ入った。老人は帆が巻き付いたマストを壁に立てかけた。少年は箱とその他の道具をそのわきに置いた。小屋はグアノと呼ぶヤシで作られていた。小屋の中にはベッドがひとつ、テーブルがひとつ、椅子がひとつあった。調理場の床は炭で料理するので汚れていた。グアノの硬い葉で覆われた茶色の壁にはキリストの絵とマリアの絵が掛けてあった。これは妻の遺品だった。昔は、壁には妻の写真も掛けてあったが、写真を見ると寂しくなるので取り外した。写真は壁の隅の棚に置いた。そして、自分の綺麗なシャツを写真の上にかけた。

 少年が尋ねた。

 「なんか食べなくっちゃ」

 「魚入りのご飯がある。食べるかい?」

 「いいや。おいらは家で食べる。火を起こそうか?」

 「いいよ。わしが後で起こすよ。冷や飯を食うかもしれんが」

 「投網を持って行っていい?」

 「もちろんさ」

 投網はなかった。少年は投網は売ってしまったのを知っていた。でも、ふたりは毎日、こんなふうに芝居をした。魚入りのご飯もなかった。少年はそれも知っていた。

 老人は言った。

 「八十五はラッキーナンバーだ。わしが千ポンド以上の大物を持って帰ってくるのを見たいだろ?」

 「投網を持って、イワシを捕りに行くよ。戸口の日向に座っていなよ」

 「ああ。昨日の新聞がある。野球の記事を見るよ」

 少年はこれも作り話かは分からなかったが、老人はベッドの下から新聞を取り出して、説明した。

 「雑貨屋のペドリコが新聞をくれた」

 「イワシを捕ったら戻るよ。あんたの分とおいらの分といっしょに氷漬けにして、明日の朝、分けようよ。おいらが戻ったら、野球の話をしてよ」

 「ヤンキースが負けるはずはない」

 「クリーブランド・インディアンズはどうかな」

 「ヤンキースに忠誠を誓いな。偉大なディマジオのことを考えな」

 「デトロイト・タイガースとクリーブランド・インディアンズのことが気になるよ」

 「シンシナティ・レッズとシカゴ・ホワイトソックスを気にしな」

 「予想していてよ。おいらが戻ったら、話を聞かせてよ」

 「85の数字が付いたロトを買うのはどうかな? 明日は八十五日目だ」

 少年は言った。

 「いいと思うよ。でも、あんたの最長記録は八十七だろ?」

 「二度とは起きないさ。あんたは85を見つけられるか?」

 「一枚買うよ」

 「一シートだよ。二ドル五十セントだ。だれがカネ貸してくれるかな?」

 「簡単さ。おいらはいつでも二ドル五十セント借りている」

 「わしも借りられると思う。でも、わしは借りない。まずはあんたが借りな」

 少年は言った。

 「暖かくしておきな。今は九月だよ」

 老人は言った。

 「九月は大物が来る。五月は入れ食いさ」

 少年は言った。

 「イワシを捕りに行ってくるよ」

 少年が戻ると、老人は椅子で寝ていた。日は落ちていた。少年はベッドから毛布を取って、椅子の後ろで広げて、老人の肩にかけた。不思議な肩だった。年老いているが力強い。首も頑丈でしわは目立たなかった。老人は前かがみになって寝ていた。老人のシャツはつぎ当てがたくさんあった。それは帆のようだった。つぎ当ては太陽の光で色あせて、さまざまな陰影があった。老人の髪は真っ白で、目は閉じられていた。顔には生気がなかった。新聞が膝の上に乗っていて、その上に腕があった。夕方のそよ風が吹いていた。足は裸足だった。
 老人を寝かせておいて外へ出て、戻っても、老人はまだ寝ていた。少年は手を片方の膝に当てて言った。

 「起きてよ」

 老人は目を開けた。しばらく、ぼうっとしていたが、笑って、尋ねた。

 「何だい?」

 少年は言った。

 「夕食だよ。夕食にしようよ」

 「わしはあまり腹が空いていない」

 「食べなよ。食べないと漁に出れないよ」

 老人は起き上がって、新聞を折りたたんで、言った。

 「食べるよ」

 そして、毛布をたたんだ。

 少年は言った。

 「毛布を巻いていなよ。おいらが生きている限り、食べさせるよ」

 老人は言った。

 「じゃ、体に気を付けて、長生きしてくれ。何を食べるんだい?」

 「黒豆とご飯。揚げたバナナに、シチューだよ」

 少年は食べ物が入った模様付きの金属の容器をテラスから持ってきた。紙のナプキンでくるんだナイフとフォークとスプーンを二組ポケットに入れてきた。

 「だれがくれたんだい?」

 「テラスのマーチンだよ」

 「礼を言わないとな」

 少年は言った。

 「僕が言ったよ。あんたは言わなくてもいいよ」

 老人は言った。

 「じゃ、マーチンに大物の腹の身をあげよう。また、くれるかな?」

 「そう思うよ」

 「そしたら、腹の身に何かを付けてあげないとな。マーチンはとてもよくしてくれる」

 「マーチンはビールもくれた」

 「わしは缶ビールが好きだ」

 「知っているよ。でも、これは瓶ビールだよ。アトゥエイだよ。後で瓶を返すよ」

 老人は言った。

 「ご苦労さん。食べなくちゃな?」

 少年は優しく言った。

 「あんたは食べなくちゃ。あんたの準備ができたら開けるよ」

 老人は言った。

 「準備はできているよ。手を洗わなくっちゃ」

 どこで手を洗うのかなと少年は思った。村の水道は道をふたつ降りなくてはならない。僕が水を持ってこなくちゃいけないかなと少年は思った。それに、石鹸とタオルも。僕は考えが足りないな? 冬物のシャツと上着も用意しなきゃ。靴と毛布も。

 老人は言った。

 「シチューはとてもうまい」

 少年は言った。

 「野球のことを話してよ」

 老人はうれしそうに言った。

 「アメリカンリーグはヤンキースだよ」

 少年は言った。
 「ヤンキースは今日は負けた」

 「どうでも良いさ。偉大なディマジオがいるだろ」

 「ヤンキースにはほかの選手もいるよ」

 「もちろん。だが、ディマジオは別格さ。ナショナルリーグでは、ブルックリンとフィラデルフィアなら、ブルックリンを取る。ディック・シスラーだよ。ふたりはホームランバッターだよ」

 「ふたりのような選手は見たことがないよ。シスラーはもっともでかいのを打った」

 「シスラーがテラスによく来ていたのを覚えているかい? シスラーを漁に連れていきたかったが、わしは気が小さいので、言えなかった。だから、あんたに頼んだが、あんたも気が小さかった」

 「覚えているよ。失敗だったね。シスラーはおいらといっしょに漁に出たかもしれない。そしたら、一生の思い出になったのにね」

 老人は言った。

 「わしは、ディマジオを漁に連れていきたい。ディマジオの親父も漁師だったそうだ。おそらく、ディマジオもわしらと同じくらい貧乏だったはずさ」

 「シスラーの父ちゃんは貧乏じゃなかった。シスラーがおいらの歳の頃、父ちゃんは大リーグでプレーしていた」

 「わしはあんたの年ごろには、アフリカへ向かう角型の船のマストの前にいた。わしは晩には海岸にいるライオンの夢を見る」

 「知っているよ。あんたが言っていた」

 「アフリカのことを話すかい? それとも野球のことかい?」

 少年は言った。

 「野球のことがいいよ。ジョン・ジェイ・マグローのことを話してよ」

 少年はヨゼフのことをジェイと言った。

 「昔、マグローはテラスにときどき来た。でも、マグローは飲むと、乱暴で口汚く難しかった。マグローは野球と同じくらい競馬が好きだった。いつもポケットに馬の出走表を入れていて、よく電話で馬の名前を言っていた」

 少年は言った。

 「マグローは立派な監督だった。僕の親父はマグローが最高だと思っている」

 老人は言った。

 「マグローはここによく来てたからな。ドローチャーが毎年、来ていたら、あんたの親父はドローチャーが最高だと思うさ」

 「だれが、最高の監督かな?ルケかな、マイク・ゴンザレスかな?」

 「甲乙つけられないとわしは思う」

 「最高の漁師はあんただよ」

 「いいや、他の漁師さ」

 少年は言った。

 「とんでもないよ。立派な漁師はたくさんいる。中には凄いのもいる、でも、あんたが一番だよ」

 「ありがとうさん。あんたはわしを喜ばす。わしらの間違いを示す大物が現れなければ良いが」

 「そんな大物はいないよ。あんたはまだ強いよ」

 老人は言った。

 「わしは思っているほどは強くはないかもしれない。でも、わしはたくさんの仕掛けを知っているし、不屈の精神もある」

 「早く寝たほうがいいよ。明日の朝は元気になるよ。おいらはテラスから食べ物を持ってくるよ」

 「おやすみ。明日の朝、あんたを起こすよ」

 少年は言った。

 「あんたはおいらの目覚まし時計だよ」

 老人は言った。

 「年寄りは早く目が覚める」

 「年寄りは何で早起きなんだろう? 一日が長い」

 少年は言った。

 「僕には分からない。僕に分かることは、少年はたくさん寝る必要があるということだけだよ」

 老人は言った。

 「そうだよな。あんたを起こしに行くよ」

 「親父に起こされるのは嫌だよ。最低だよ」

 「知っているさ」

 「ぐっすり寝てね」

 少年は出ていった。食事の時は、食卓に明かりをともさなかった。老人はズボンを脱いで暗がりのベッドに入った。ズボンを丸めて、間に新聞をはさんで、枕にした。ベッドのスプリングの上に新聞を敷いて、毛布にくるまって寝た。
 老人はすぐに眠った。子供の頃のアフリカの夢を見た。きらきら輝く白いビーチはまぶしくて目が痛くなる。小高い岬と茶色の山も見えた。老人は毎晩その海岸の夢を見た。波の唸り声を聞いて、地元民の舟が波間を行き交いするのを見た。デッキのあかどめのタールが匂った。朝の陸風に乗ってくるアフリカの匂いを感じた。
 陸風の匂いを感じるといつも目が覚めた。そして、服を着て少年を起こしに行った。だが、その夜は陸風がとても早く吹いた。早すぎることは分かっていたが、夢を見続けて海の中の島々の白い頂を見た。そして、カナリヤ諸島のいろいろな港の夢を見た。
 老人は、もはや、嵐や女や大きな出来事や巨大な魚や喧嘩や力比べや妻の夢は見なかった。アフリカと海岸にいるライオンの夢だけを見た。ライオンは黄昏の中で遊ぶ子猫のようだった。老人は少年と同じくらいライオンを愛した。老人は少年の夢は見なかった。ただ起きて、月明かり下でドアを開けて、丸めたズボンを伸ばして履いた。老人は小屋の外で立小便をして坂を上って少年を起こしに行った。老人は朝の寒さで震えたが、まもなく舟を出すので暖かくなって身震いすることは知っていた。
 少年の家のドアには鍵がかかっていなかった。老人はドアを開けて裸足のまま静かに中に入った。少年は手前の部屋のベッドで寝ていた。沈みかけている月の光で少年の姿がはっきりと見えた。老人は少年が起きるまで少年の片方の足を優しくつかんで、少年を見ていた。老人はうなづいた。少年はベッドの脇の椅子からズボンを取って履いた。
 老人はドアから外へ出た。少年はその後をついて行った。少年は眠かった。老人は少年の肩に腕を回して言った。

 「ごめんよ」

 少年は言った。

 「何でもないよ。あんたの仕事だからね」

 ふたりは老人の小屋へ降りていった。道は暗かったが、ふたりは裸足で歩いて舟のマストを運んだ。小屋に着くと少年は釣り糸が入った箱とモリと魚かぎを持った。老人は帆が巻き付いたマストを肩に担いで運んだ。

 少年が尋ねた。

 「コーヒーは要らない?」

 「道具を舟に積んで、コーヒーを飲もう」

 早朝に漁師が集まる場所でふたりはコンデンスミルクの缶に入ったコーヒーを飲んだ。

 少年は尋ねた。

 「良く寝れた?」

 少年はすっかり目が覚めていた。目が覚めるまで時間がかかるけれども。

 老人は言った。

 「良く寝れたよ、マノリン。わしは今日は自信がある」

 少年は言った。

 「そうさ。さあ、イワシを持ってこなくちゃ。おいらとあんたの新鮮なエサ。親方は自分で道具を運ぶ。だれにも手伝わせない」

 老人は言った。

 「わしらは違うさ。あんたが五歳の時から道具を運ばせた」

 少年は言った。

 「覚えているよ。すぐに戻るよ。コーヒーをもう一杯飲みなよ。ここはつけが効く」

 少年は裸足で珊瑚の道を歩いてエサが置いてある保冷庫へ行った。 
 老人はゆっくりとコーヒーを飲んだ。食事はコーヒーだけだった。だがコーヒーは飲まなければならなかった。今は食べるのはうんざりする。弁当は持って行かなかった。舟のへさきに水筒を置いていた。その日はそれだけだった。
 少年がイワシを持って戻った。新聞紙に二匹包んであった。ふたりは道を下って舟へ向かった。足に砂利を感じた。舟を抱えて海に入れた。

 「幸運を」

 老人は言った。

 「幸運を」

 かい座ピンにオールの綱を合わせた。そして、波頭に逆らって前へ進んだ。老人は暗闇の中を港から出て漕ぎ始めた。他の岸から出た舟もいた。オールが水をかく音が聞こえた。オールは見えなかった。今は月が丘の下に見えた。
 時には舟で話すものもいる。だが、たいていの舟はオールの音以外は聞こえない。舟は港の入り口から出た後、分かれて行った。各々の舟は魚が見つかりそうなポイントに向かった。老人はずっと沖へ出て行こうと思っていた。背後には陸の匂いが残っていた。そして、早朝の新鮮な匂いがする海へ漕いで行った。漁師が偉大な地点と呼ぶ上を漕いでいると海藻の燐光が見えた。そこは急に深くなって七百尋の深さがある。そこでは潮が渦を巻いていて、あらゆる魚が集まっている。大陸棚の急な壁に向かって潮が流れて渦ができる。そこにはエビや小魚が集まっている。深みの穴にはイカの群れもいて夜には水面に上がってくる。これらが、いろんな魚のエサになっている。
 暗がりの中で、老人は夜が明けるのを感じながら漕いだ。左手にトビウオが飛ぶ音が聞こえた。まっすぐな翼が立てる風きり音だった。トビウオは暗がりの中で飛行した。老人はトビウオがとても好きだった。トビウオは海の主要な友人だった。老人は鳥は気の毒に思った。とくに小さくて華奢な黒いアジサシは気の毒に思った。いつもエサを探し回っているが、なかなか見つけられない。大きくて強い泥棒鳥以外は、人よりも生きるのが厳しいと老人は思った。海ツバメのような華奢で綺麗な鳥にとって、海はとても残酷ではないだろうか? 海は親切で美しい。だが、海は突然とても残酷にもなる。鳥は海に潜って漁をする。その小さな悲しい声は海に対してあまりにも弱すぎる。
 老人はスペイン語でラ・マールと言う海のことをいつも考えていた。人びとは海を愛している。ときには、海を悪者のように言う者もいる。海はまるで女のようだと彼らは言う。エンジン付きの舟を持ってブイを使う若手の漁師もいる。彼らは海のことを雄々しいエル・マールと呼ぶ。サメの肝臓はたくさんの稼ぎになる。彼らは海を競争相手、あるいは敵だと言う。だが、老人は海のことを大いなる恵みをもたらす女性だと思っていた。海が荒々しくて邪悪であっても、海はそうせざるを得ないだけだと思っていた。月は海に影響を及ぼすが、それは女を扱うようなものだと老人は思っていた。
 老人は堅実に漕いでいた。老人には苦労はなかった。潮目の渦以外は海は平らだったので十分に速度を保っていた。潮流に乗るのが三番目の仕事だった。潮流は緩くなっていた。その時間には思っていたよりも沖へ出ていた。
 一週間どん底だった。何もしなかったと老人は思った。今日はカツオとビンナガがいるポイントまで来た。ここには大物がいるはずだ。
 潮流が完全に緩くなる前に、老人はエサを取って、流した。ひとつめの仕掛けは四十尋、ふたつめは七十五尋、みっつめとよっつめは百尋と百二十五尋に落とした。エサの魚は針の付け根から軸の部分にきっちりと付けた。針の先には新鮮なイワシを付けた。針はイワシの両目を通して付けたので針の軸のところで花飾りのようになっていた。大物が針全体で甘い匂いと美味しい味を感じるようにした。
 少年は老人に新鮮な二匹のビンナガを手渡していた。これらは、重りのように釣り糸にぶら下がっていた。他の釣り糸には、前に使ったシマアジを付けていたが、シマアジの状態はまだ良かった。そして新鮮なイワシが良い香りと味を醸し出していた。鉛筆くらいの太さの釣り糸は釣り竿に付けていた。エサに当たりがあると釣り竿がたわむ。釣り糸は四十尋に二巻きしていて、さらに余分の釣り糸があった。場合によれば、魚は釣り糸を三百尋以上も引っ張る。
 老人は舟の脇に取り付けた三本の竿のたわみを見ていた。そして、釣り糸を適切な深さに保つようにゆっくりと漕いだ。明るくなった。もう陽が昇るだろう。
 
 

 

青柳洋介

略歴

1956年生まれ。1981年、東京大学卒。20年間の電機メイカー勤務を経て、2004年に独立開業。

クリエイター

http://ayosuke-cosmos.blogspot.jp/

バードマン社

http://birdman-ao.blogspot.jp/

2016年3月22日火曜日

物語@標準システム

僕が乱れていると言うよりも、システムが乱れている。

驚天地はハーモニーです。世の中は混乱です。


政治と経済は社会の両輪です。

政治が悪いと、経済も悪くなる。

経済が悪いと、治安も悪化する。

負の循環です。


エネルギー問題は根本の問題です。

過去は再生可能エネルギーがベースのリサイクル型社会だった。

未来も再生可能エネルギーがベースのリサイクル型社会になる。

今は、過渡期です。


黒字の根源は1次産業です。

農林漁業(生物資源)、鉱業(鉱物資源)

2次産業が資源を加工して、3次産業が製品を消費する。

世界は単純です。


グーグルの根源は広告屋、集金システムです。

グーグルの集金システムのどこが優れていたか?


レンズ屋は2次産業です。アジアに販売する。

販売システムの問題とレンズのクオリティの問題とコストの問題。

そんなところじゃないですか?


本屋は3次産業です。出版屋は代理店です。印刷製本は2次産業です。

作家は1次産業です。百姓です。農産物の生産者です。


アマゾン、Kindle個人出版システム。

アマゾンが本屋、印刷屋、製本屋を担当します。作家が出版屋と百姓を担当します。


雑誌屋のノートも同様のシステムです。

ノートが本屋、印刷屋、製本屋を担当します。作家が出版屋と百姓を担当します。


ノートは記事単位でも販売できるようです。

試しに、天地創造を100円で販売してみました。

僕の販売網は小さいので、売れませんが。


天地創造は、グーグルでも販売しています。無料ですが、広告を載せています。


グレイトシステムのサブシステムの物語。

翻訳本はアマゾンで出版してみました。

アラビアンナイト ペルシャの王と海の王女


あお文庫

黄本 オリジナル本

緑本 翻訳本

とりあえず、1冊ずつ出版しました。

形式は整いました。


ガイア@標準システム
宇宙の誕生、地球の誕生、人類の誕生

人類がいつまで生き残るか不明です。その中での出来事です。


自然界にゴミはありません。

人類はゴミを大量生産しているだけなのかもしれません。

人類が滅ぶことは決まっています。


ガイアの中で、生物がサバイバルゲームをしているだけの話です。

そういう意味では、未来はありません。終わりが来ます。


持続不可能です。人類にできることは、限定的な持続可能性の追求です。いつまで、持続できるかは不明ですが、人類は最後まで悪あがきをするでしょう・・・


人類が、持続不可能だと言う大前提に立てば、悪あがきもしなくて済みます。

気楽に生きれば良い。どうせ、終わりが来る。


人類が発信する情報のほとんどは、取り分をめぐる争いです。

欲望の追求です。



サブシステム@グレイトシステム
サブシステムの物語は、小説よりも、シナリオだな。


シナリオ

発想と構成

テーマ、モチーフ、素材

起承転結



起(ファーストシーン)

人物、場所、疑問、行動の魅力、どこから始めるか?

張り手型、撫ぜ型


承(展開部)

表と裏の問題

事件、事情、秘密性、伏線、ハプニング


転(クライマックス)

テーマを感じさせる

説明、寄せ玉


結(ラストシーン)

ドラマの余韻と定着

連続ドラマは、次回への期待



描写

小説の描写は文芸的です。

シナリオの描写は映画的です。

ナレーション法、タイトル法、パントマイム法、セリフ法、モンタージュ法、意識描写法



ト書

情景描写、動作の描写、シャレード、小道具の使い方



セリフ



人物描写、場面描写、心理描写



時間の処理、モンタージュ、シャレード



アラビアンナイト ペルシャの王と海の王女


これは、翻訳出版済みです。


昔、ペルシャに王がいた。嫁がいなかったが、商人が連れてきた奴隷を嫁にした。

奴隷は一言もしゃべらなかったが、子供が生まれて、素性を語った。

奴隷は海の王女だった。世継ぎは賢く育った。

王は息子に 玉座を譲ることにした。新ペルシャ王は立派に仕事をこなした。

そして、旧王が亡くなった。

それから、ペルシャ王の嫁取り物語。困難を克服して嫁を取った。

めでたし、めでたし。



平成じいさん桃色ウラシマ太郎

縁があってバリ島へ旅した。浜辺で亀を助けたら、龍が現れた。

龍がバリ龍宮へ案内してくれた。じいさんはトキを忘れて龍宮で遊んでいた。

目が覚めたら、東京のビルの谷間に立っていた。傍らに若い女と小さな女の子がいた。


女の子が「パパ」と言った。女が「あなた、どうしたの?」と言った。

女をよく観ると、龍宮の乙姫だった。

じいさんの記憶は消えていた。

ま、いいか、しろひげのじいさんは、仕事を探して、東京で生きることにした。



人類@標準システム
ライフワークです。グレイトシステムを開発しています

システムアーキテクトの見地から提言します

世界はエネルギーで出来ている。天子

世界は生物とエネルギーと道具で出来ている。三清



人類とは何者か?

他の生物を食って、道具を製造しています。

人類は、天使系と悪魔系に大別される。


天使も、悪魔も、神の使いです。

人類には、天使の使いと悪魔の使いがいる。



天使、天使の使い、スマートツール製造人、薬製造人

悪魔、悪魔の使い、デビルツール製造人、毒製造人



世界はハルマゲドンの戦いを行っている。天使と悪魔の戦いです。


天使の使いは、スマートファクトリーで、スマートツールを製造する。

悪魔の使いは、デビルファクトリーで、デビルツールを製造する。


あなたは、天使系ですか? 悪魔系ですか?


ツール

天使系 スマートファクトリー、スマートシティ、スマートハウス、スマートカー、スマートフォン、スマート家電、薬、、、

悪魔系 デビルアクトリー、軍事基地、ペンタゴン、戦闘機、軍艦、戦車、機関銃、核兵器、ミサイル、レーシングカー、毒、、、



薬と毒

天使系 薬、医療用麻薬

悪魔系 毒、覚せい剤、アヘン、ヘロイン、コカイン、農薬、殺虫剤、枯葉剤、サリン、炭疽菌、、、



娯楽

天使系 無理をせずに気楽に楽しむ、健康体操、ランニング、ウォーキング、踊り、歌、太極拳、、、

悪魔系 金をめぐって戦う、プロスポーツ、オートレース、ボートレース、ケイリン、競馬、空手、、、



マネー

天使系 純金、信用、スマートツール製造人、薬製造人、楽しむ系

悪魔系 闇金、詐欺、デビルツール製造人、毒製造人、戦う系




難民、原発事故避難民

ハルマゲドンの戦いです。

refugee
【名】難民、避難者、亡命者

evacuee
【名】避難者


物語@標準システム
物語

根幹、大枝、小枝、葉っぱ

葉っぱの物語を観ているとキリがない。

サブシステムの物語は、根幹から始まる。


サブシステムの物語

ラーマーヤナ、惑星、大地の歌、タイタン、新世界、春の祭典、紅楼夢、クレオパトラ、アラビアンナイト、、、


葉っぱの物語

老人と海

途中まで翻訳したが、中断中

巨大カジキを釣り上げて、寄港する前にサメに食われてしまう。

老人は幸せか?


葉っぱの物語

魔人屋物語

東京の小さなジャズバーで起きているお話


手漕ぎ舟の老漁師

自転車操業の老店主

物語の本質は変わらない


柏の森は、シャングリラです。

物語の本質は、ヤンリーピンのシャングリラと変わらない。

柏の森には、孔雀はいないが、雉がいる。

雉は、日本を代表する鳥です。


シャングリラの物語は、驚天地の物語です。

天人地の物語です。シャングリラはドラゴン界の物語です。


ドラゴン界@香港

パラダイス@マカオ

カルディ@モロッコ

浄瑠璃世界@上野公園

浄瑠璃世界@池尻

シャングリラ@柏の森

極楽世界@バリ島

http://artharbour-bali.blogspot.jp/



驚天地はどこにでも出現する。風光明媚な場所である必要はない。

「絶景かな絶景かな」とは、かの大盗賊・石川五右衛門が南禅寺の満開の桜を見て言うセリフ。「松島や ああ松島や 松島や」は絶景を見た松尾芭蕉の句。



薬師寺の坊さん(TBS)
話を聞いてくれて、ありがとうございました・・・

水曜日, 3月 26, 2008
日光菩薩、月光菩薩
日光菩薩と月光菩薩、色っぽかった。

薬師三尊の原理を把握した・・・

でも、薬師如来さん可哀そう・・・

両手の花が上野に出張しているので・・・

薬師寺の坊さんと話した・・・

三尊の原理について・・・

薬師如来とは、日月の反射によって生じる安定した世界の象徴・・・

僕はわっかのない悟空として、訪問したが、三蔵法師が怖い顔して座っていたので、わっかをはめられないように逃げた・・・ 他には吉祥天が羽衣をつけて舞っていた。慈恩大師が鎮座していた。

やはり、日光菩薩と月光菩薩のパワーはすごい・・・

浄瑠璃世界が一時的に上野公園に出現したと思われる・・・

日本で初めて見た・・・ バリ島ではヒンドゥ教に基づく世界、マカオではキリスト教に基づく世界、香港では中国の神様に基づく世界を見たことがある、、、

言葉では表すのは不可能なほど美しい世界でした・・・

その場にあるほとんどのものが究極のハーモニーとなって動いていた。場を不満に感じているものはないと言える。雲があって、日が雲に隠れながら公園全体を照らし出している。噴水のひとつぶひとつぶが見える。木々などがとてつもなく美しい。鳥も飛んでいる。大道芸人がゆったりとした音楽に合わせて踊っている。究極のバランスが取れた自由な世界、衝突しているものは何もない・・・気持ちよかった、、、

結界は、的屋さん・・・ たこ焼き2パック1000円なりを買って、現実世界に戻って行った・・・

最高だったな~~~、摩訶不思議ワールド? 不可思議ワールド?

AO

追伸:聖母マリアの受胎告知の日でもあった? やはり、そうだった。

3月25日、天使ガブリエルが聖母マリアに救世主(メシア)の母となることを告げた受胎告知の日。


東方浄瑠璃世界の象徴、薬師如来・・・

すげえな~~~、とつとつと語る坊さん? 坊さんらしいな~~~


三蔵法師は怖かった・・・

こやつ、強えな~~~

ナーランダーの月、って、お釈迦さまが悟った場所、ネーランジャー河、でしょ?

違うのかな?


ナーランダー、ネーランジャー、ガンダーラ・・・

面白い・・・

だれか歌った・・・ ガンダーラ、、、愛の・・・ ガンダーラ


語り 立松和平さんじゃん、坊さんかと思った・・・

和平こそ、平和のカギでしょ?

日本語って面白い・・・

和平合意で、平和になる・・・



コンピュータの話をするか?

コンピュータを構成する個々のトランジスタの話をするか?

根幹の話と葉っぱの話です。


コンピュータは、中央演算装置と記憶装置と外部記憶装置で出来ている。

トランジスタはスイッチです。オンかオフか?


中央演算装置は、サブモジュールで構成されています。サブモジュールはさらに小さなモジュールで構成されています。そして、末端はトランジスタです。

コンピュータとは、膨大な数のスイッチです!



国連 - 連合国(地域連合) - 国 - 都道府県 - 市区町村 - 住民

国連の話をするか、個々の住民の話をするか?

国連が機能不全になったら、世界はおかしくなる。個々の住民が機能不全になっても世界は変わらない。


地域経済圏の規模

1.北米自由貿易協定(NAFTA)

2.欧州連合(EU)

3.メルコスール(MERCOSUR)

4.東南アジア諸国連合(ASEAN)

5.アフリカ連合(AU)


TPPはどうなのかな?

オセアニアはイギリス連邦なのかな?


コミュニティ・デザインです。

2016年2月20日土曜日

翻訳

歌詞の翻訳の方が面白い

歌詞の翻訳をやる

翻訳学校が提供するすべてのジャンルを勉強した。

実務翻訳、出版翻訳、字幕翻訳、歌詞翻訳


最後の〆はブックハンター養成講座

僕はこれで翻訳学校を卒業しました。2年2か月でした。

2016年1月19日火曜日

物語の開発@標準システム

道路はネットワークです。自動走行車はツールです。自動走行車のエネルギーは何でしょうか? ガソリン? 水素? 電気?

WIRED.jp
道路が雪で覆われたとき、自律走行車はどう走るのか http://wired.jp/2016/01/19/self-driving-cars-in-snow/ … #最新記事


われわれはガイア(自然物)の中に人工物を建造して生きている。

物語の基本要素は6つです。

ダビデの星 #人  #マシン   #ツール   #ネットワーク   #エネルギー   #マネー
六芒星です。ダビデの星では、国も家も社もすべての生き物も、人に含まれる


さらには、

青柳洋介@バードマン開発
ライフワークです。グレイトシステムを開発しています

システムアーキテクトの見地から提言します

世界はエネルギーで出来ている。天子

世界は生物とエネルギーと道具で出来ている。三清



市場は社のひとつです。

6つの要素が含まれます。

ビール市場

市場とはマーケットです。スーパーマーケットを考えれば、市場のモデルは分かりやすい。


市場では、人、情報、モノ、金を売買しています。

商売は商品に利益を上乗せして売りますが、取引の原則は引き分けです。

取引は損得なしです。ギブ・アンド・テイクです。


何で利益が生まれるか?

何で黒字になるか?

自然から搾取しているからです。われわれはみなドロボーです。

世界金持ちランキングはドロボーランキングでもある。


真面目な話です。

すべては、自然=神のお恵みです。

あまり、強欲にならないほうが身のためだと思う。

天罰が当たる。


何に金を支払うか?

自分にとって、価値がある情報やモノです。

ナショジオのデジタル版を買った。「マリファナを科学する」の記事を買いました。

1000円だったかな?

ライアン・ジョーンズ | 電子出版の未来を握るのは出版社、ではない « INNOVATION INSIGHTS http://wired.jp/innovationinsights/post/wired/w/digital-magazine/


文芸春秋の電子版も買ってみました。

どういう感じか? 読みやすいか、どうか?

電子版でも問題ないと思った。保管の手間や処分の手間がかからないので、電子版の方が良いかな?と思った。


無気力社員ゼロ計画

とにかく、社員が働かなければ、商売はあがったりです。


儲かる仕組み、ビジネスモデルを創るのは経営者の仕事です。

社員にいくら気力があっても、仕組みが悪いと、気力だけが空回りして、ろくでもないことになる。

だから、経営責任を問われる。

だから、経営者の能力が高くないとダメです。


日経ビジネスの立場

ニッポン株式会社の社員

WIREDの立場

グローバル企業の社員

面白いです。立場が重要です。


1億総活躍社会

国、社、家の三位一体ですが。

総責任者は首相です。

チーム リーダー

内閣 首相

国会 議長

最高裁 長官

三権の長が責任者です。

その下に、民営の社、家がある。

取締役会 社長

世帯 世帯主


昔のニッポン株式会社?

チームで責任を取ります。

チーム リーダー

取締役会 代表取締役

執行役員会 取締役

事業部長会 執行役員

部長会 事業部長

課長会 部長

係長会 課長

係 係長


飯塚市も定住化政策を上げています。

地方都市でも、都心回帰が起きているようです。

僕の同級生の開業医などは、飯塚で仕事をして、自宅は福岡市に買いました。

教育環境などを考えてのことか?


神奈川の村で坪20万円の分譲地が売れないワケ http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/011500147/?n_cid=nbpnbo_twbn … #日経ビジネスオンライン


日本の家の多くは、子供が中心です。

子供を育てて、社会に出すまでは、子供が中心です。

良いのではないかと思いますが・・・


親によっては、自然の中で、子供を育てたほうが良いと考える人もいます。

東京の小学生と飯塚の小学生を比べると、飯塚の小学生の方が伸び伸びしています。

教育とは何か?

今一度、考えたほうが良いかも?


僕は56世代です。やはり、40歳前後だね! 実力発揮!

【遅れてきた76世代①“夢しか実現しない”】
IT業界では、1976年前後に生まれた“76(ナナロク)世代”に、ベンチャー経営者がそろっている。


昔から、言っています。

根幹がダメになったら、枝葉は枯れます。花も咲かないし、実も付かない。

営業部長は幹部社員です。

頑張ってね!


ライフプラン、ライフスタイルの提案ですね!

宇宙誕生以来、あなたはあなただけです。あなたは二度と生まれない。

良い人生を送ってね!

2016年1月15日金曜日

あお文庫の行方@バードマン出版

出版業界のデファクトスタンダードは?

文庫じゃないの?

岩波文庫、新潮文庫、文春文庫、、、青空文庫(著作権切れ)


アマゾンでは、文庫はレーベルとして登録するようです。

レコードは記録でしょ?

レコードレーベル とはレコードの盤面中央部に貼付される、曲目、音楽家、レコード会社名などのクレジットが記載されたラベル紙を原義とする。


ピーター・パン (岩波少年文庫)2000/11/17
J.M. バリ、 F.D. ベッドフォード

グレイトシステム (あお文庫 黄)2013/10/28
青柳洋介
Kindle版


あお文庫のファンを増やす戦略は?

今のところ、商品点数を増やす、です。


青空文庫の商品点数はかなり多い。

収録作品数:13469(著作権なし:13208、著作権あり:261)



グレイトシステム第一版をアマゾンで出版した。

改版の予定はない。

国、社、家

黄はオリジナルです。ブログに書く。

場合によれば、アマゾンで出版する。

緑は翻訳です。著作権切れをアマゾンで出版する。


半導体のシステム設計の仕事は、この本の翻訳で終了しました。

アサーションベース設計 原書2版2004/9
Foster,Harry D.、 Lacey,David J.
単行本


各物語はグレイトシステムのサブシステムです。

階層設計です。

IP開発会社がシステムのサブモジュールを売買していた。

Art HarbOur Tokyo: システム、サブシステム、IP http://artharbour-ao.blogspot.com/2012/09/ip.html?spref=tw … …


NHK批判

NHKはほぼ国営です。

報道の自由や表現の自由はあるが、国から規制を受けることもあります。

法の下の自由平等平和です。


政治

共産主義、社会主義、自由主義、無政府主義

自公は自由主義寄りです。右派

民主、共産は社会主義寄りです。左派

維新も自由主義寄りです。右派


経済

景気は金回りです。

カネ回りが良い状態が景気が良い。

貯蓄が増えることは必ずしも望ましくない。

カネ回りが悪くなる。

だから、スウェーデン型が悪いとは限らない。


ソニーの新規事業

銀行、保険、介護、、、

何をやっているか?

トータル・ライフプランナーです。

青柳洋介@バードマンインク: わが社のライフプランニング - BirdMan http://birdman-ao.blogspot.com/2010/02/birdman_7.html?spref=tw … …


グレイトシステムで提案しています。

進化

Web(機械論的宇宙) -> Bio(生命論的宇宙) -> System(システム論的宇宙)

機械と生物の共生です。


僕の新入社員時代(初めの3年)

仕事は面白かった。

ネットのシステム開発。エレショウで発表。

お客さんに販売。請求書出力システムも作った。

商売のすべてをやった。設計、製造、販売


●テーマ:System on globe

ネットワークシステムの開発(1981年から1984年)

・  国内および海外の支社、取引先に設置した沖のPCから、東京にあるIBM汎用機     上でシミュレーションのオンライン実行を可能にした。


その後は、設計システムの研究とデザインセンタの開発。

設計システムはシリコンバーレー発の専門メイカーに席巻された。

そして、日の丸半導体は墜落した。

その一環として、人工知能も研究した。


僕の事務所は個人のデザインセンターです(会社でお世話になった成果です)。

グレイトシステムの概念設計が終わったので、サブシステムの物語を書いています。

サブシステムの要件定義なのかな?


システム設計

概念設計、機能設計、詳細設計

この記事は細かく書いてありますが、僕はどうでも良いかな?

http://qiita.com/mikakane/items/b8045a11dba8d08e5fe4


設備の調整

終わりですか?

厨房、空調、照明、音響、トイレ、、、

人の管理、在庫の管理、スケジュールの管理、、、

仕事はたくさんあります


最初と最後が金の管理です。

予算と決算です。

生まれた時は、ゼロです。

死んだ時が、総決算です。


販売員

商売の最前線です。

頑張ってね!

最前線の兵士は厳しい、笑い


仕事は何してるの?

と聞かれたら、私は販売員です。

と答えればよい。

何の販売員なの?

音楽の販売員です。

Music is My Life

です。


今のBGMです。

Will You Love Me Tomorrow  7:33 Aoyagi POCO Sumiko Fine And Mellow Jazz  0 89


実は、僕も販売員です、笑い

販売中です。Now On Sale

魔人屋ブログ: 販売中@Fine and Mellow http://poco-mantoya.blogspot.com/2015/11/fine-and-mellow.html?spref=tw … …

2016年1月10日日曜日

あお文庫@バードマン出版

よしもとばななは下北族、都会派

柳美里は相馬族、田舎派

たまにのぞき見している、笑い

こいつら、アホです、笑い


バードマンの戦略

商品数を増やすことです。

多品種少量販売です。

薄利多売ではない。


あお文庫です。

黄本 オリジナル

緑本 翻訳

カバーデザインは2種類だけ

アフガニスタンのカーペットです


あお文庫です。

黄本 オリジナル



あお文庫です。

緑本 翻訳


2016年1月6日水曜日

老人と海@青空文庫

老人と海 [Kindle版]
アーネスト・ヘミングウェイ (著), 石波杏 (翻訳)
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
Kindle 価格: ¥ 199
販売: Amazon Services International, Inc.


商品の説明
内容紹介
ヘミングウェイの名作『老人と海』日本語訳の決定版が、ついにキンドルで登場!
大魚に挑む老人の不屈の精神、雄大な自然の美しさ、そして老人の前に立ちはだかる運命。
作家人生の全てを『老人と海』に込めたヘミングウェイは、本作の成功によりノーベル文学賞受賞に至った。

簡潔にして緊張感のあるヘミングウェイ独自の文体について、訳者の石波氏は精緻な研究を経て翻訳を行い、日本語の訳文でそれを再現。読みやすさと精確さの両立を実現している。

(※この翻訳作品の本文は、電子図書館「青空文庫」にて公開されています。キンドル版は、訳者の御協力と御厚意のもとに作成されました。)
登録情報
フォーマット: Kindle版
ファイルサイズ: 251 KB
紙の本の長さ: 63 ページ
同時に利用できる端末数: 無制限
出版社: 佐和出版 (2015/7/18)
販売: Amazon Services International, Inc.
言語: 日本語
ASIN: B011IVLMLU


老人と海(1958) (字幕版)1958
主演: スペンサー・トレイシー
Amazonビデオ
¥ 300 - ¥ 1,000
Amazonビデオ:全商品を見る
Fireタブレット、iPhone、iPad、PCなどのデバイスですぐにご覧いただけます


老人はメキシコ湾で少年を伴い、漁師を営んでいた。少年は老人を尊敬し愛していたが、40日間不漁が続いた為に、親のいいつけで別のボートで漁を手伝う事になってしまう。そんなある日、老人は仕掛けた網に信じられない程の重さを感じる。その瞬間、網にかかったカジキと老人の4日間にわたる死闘が始まった…。 Eirin Approved (C) 1975/Renewed (C) 2003 Warner Bros. Entertainment Inc.All rights reserved.
出演: スペンサー・トレイシー,フェリペ・パゾ 再生時間: 1 時間, 26 分
こちらの対応デバイスで視聴可能です。

2016年1月5日火曜日

サラオ@老人と海

次は、老人と海です。

1 邦訳「老人と海」の文章では、以下のように「サラオ」と言っている。

http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000143578

アラビアンナイト@販売中

アラビアンナイト ペルシャの王と海の王女

作者 不詳 訳 青柳洋介



アマゾン

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%93%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%80%80%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%81%AE%E7%8E%8B%E3%81%A8%E6%B5%B7%E3%81%AE%E7%8E%8B%E5%A5%B3-%E3%81%82%E3%81%8A%E6%96%87%E5%BA%AB%E3%80%80%E7%B7%91-%E4%B8%8D%E8%A9%B3-ebook/dp/B01A5RREJ2/ref=sr_1_1?s=digital-text&ie=UTF8&qid=1451930929&sr=1-1&keywords=%E9%9D%92%E6%9F%B3%E6%B4%8B%E4%BB%8B


商品の説明
内容紹介
 昔、ペルシャに王がいました。御代の初めに多くの輝かしい勝利をおさめました。その後は、平安を謳歌したので、もっとも幸福な王と呼ばれました。王の唯一の気がかりは世継ぎがいないことでした。都では、王室の慣例に従って、廷臣たちを集めて、催しを開きました。大臣と名高い人たちが集まりました。その中に、はるか遠い国から来た商人がいました。商人は、とても大事な用件があると、王への謁見を懇願しました。王はただちに商人の謁見に応じました。催しが終わると、廷臣たちは退きました。王はどんな用件を持ってきたのかと商人に尋ねました。

 商人は答えました。

 「陛下、ご覧ください。私は美しく魅力的な奴隷を連れて参りました。この世の隅から隅まで探しても、見つからないほどです。この奴隷をご覧になれば、きっと妻にしたいとお思いになるでしょう」

 王の命令に従って、この美しい奴隷はただちに召し入れられました。王は、奴隷を見ると、その美しさと気高さに圧倒されました。そして、恋の虜になり、すぐに結婚すると決めました。そして、結婚しました。


登録情報
フォーマット: Kindle版
ファイルサイズ: 1064 KB
同時に利用できる端末数: 無制限
出版社: バードマン (2016/1/3)
販売: Amazon Services International, Inc.
言語: 日本語
ASIN: B01A5RREJ2

2015年12月25日金曜日

Kindle本の校正と出版

翻訳作業

iPadで原著を見ながら、Windowsで翻訳原稿作成。

目が疲れます。


辞書

電子ブックリーダーに内蔵の辞書と英辞郎です。

もちろん、ウェブも参照します。

ペイパーレスです。


どうするんだったっけ?

グーグルドキュメントで、DOCXファイルを作成する。

Kindleパーソナルドキュメントで校正する。

KDPへDOCXを投入する。

プレビューツールで最終確認する(mobiファイルをダウンロードする)

最終確認が終わったら、出版する?


ブログも本も同じです。

読む人もいる。買う人もいる。

問題は人気が出るか、どうかです。

人気が出れば、商売になる。


ブログや本に限らない。

ほとんどの商売は人気がカギです。

商品に人気が出なければ、商売にならない。


人気が出そうな商品を開発して、同時に販売促進活動をしなければならない。


商品に人気が出るか?

ブログのページビューが参考になる。


不足しているものは売れるはず。

だが、今の世の中、不足しているものはあまりない。

とくに、不便を感じない。

とくに、欲しいものもない。


金は使う分だけあれば良い。

それ以上の金は必要ない。


起業? 創業?

売れそうな商品開発ができそうか、否か?

商売は商品に利益を上乗せして売る。

収支 >0 (損益分岐点以上に売る)



KDPへの登録

どうするかな?

レーベル あお文庫 緑

出版社 バードマン

これで良いかな?

2015年12月23日水曜日

野生のイルカとふれあう@あお文庫

出版社が倒産したのでパーソナルドキュメントで無料配布中。翻訳権料は支払い済み。

青柳洋介@バードマン出版: 野生のイルカとふれあう - 知的生命体発見の旅 http://ayosuke.blogspot.com/2013/10/blog-post_19.html?spref=tw … …


イングリッシュ エージェンシー

澤さま

はじめまして、青柳です。

新風舎の元社長の松崎さんに、出版したい旨を書留郵便で送りました(1月21日)。
松崎さんが受け取られたところまで確認済みです(基本的には松崎さんと連絡が取れません)。

翻訳権について、新風舎とRandom Houseが契約しているものと考えていました。
日本側のエージェントはイングリッシュ エージェンシーさんだと思っていました。

ただ、その契約に関しては、私はまったく関わっていないので、何ら情報を持っていませんでした。
少なくとも、その契約がどうなったかの確認ができるまでは、私としては動けませんでした。

それで、原著者のレイチェルさんに連絡して(たまたまスーパー・チューズデイでした)、
レイチェルさんのエージェントを教えてもらって、すぐにNYに電話をして、
Juliaさんにメールを送りました。契約がどうなっているかの確認のメールです。

松崎さんには、原書の性質からしてNHK出版であれば妥当だと個人的に判断して、
NHK出版に翻訳権を譲渡できないか検討してください、と上記の書留郵便で連絡しています。

なお、原著は自分で購入して、ハードカバーのFirst Editionを持っています。
翻訳の方は、原稿整理の段階でした。昨年の11月ころに新風舎からストップがかかって、
結局、新風舎が破産ということになりました。

先が、どうなるかは不明でしたので、日本文の最終的な見直しをぼちぼちと行なっていました。

原稿出しできるまでに、今一歩という段階だと考えています。

NHK出版の猪狩さんという方とは、別の本の翻訳企画に関して電話で話したことがあります。

本書については、新風舎の前に、早川の伊藤さんという編集者と電話で話して、2年間待ってくださいと
断られた経緯があります。

以上がおおまかな現況です。

契約自体のステータスはどうなっているのでしょうか?

レイチェルさんは、初版分に関する著作権料はすでに受け取られたみたいで、
初版の出版は完了済みだと思っていたとのことです。

なお、電話は朝から夜まで大丈夫ですが(Juliaさんに電話したときは、午前2時過ぎでした。時差があるので)、
外出していることもあります。留守電に入れることもできます。

154-0001
東京都世田谷区池尻4-2-22
第1まつしまハイツ302

青柳洋介

電話 03-3411-3973

2015年12月22日火曜日

カバーデザイン@あお文庫

黄本 オリジナル





緑本 翻訳



アラビアンナイト

アラビアンナイト
~ペルシャの王と海の王女

作者 不詳
訳 青柳洋介

 昔、ペルシャに王がいました。御代の初めに多くの輝かしい勝利をおさめました。その後は、平安を謳歌したので、もっとも幸福な王と呼ばれました。王の唯一の気がかりは世継ぎがいないことでした。都では、王室の慣例に従って、廷臣たちを集めて、催しを開きました。大臣と名高い人たちが集まりました。その中に、はるか遠い国から来た商人がいました。商人は、とても大事な件があると、王への謁見を懇願しました。王はただちに商人の謁見に応じました。催しが終わると、廷臣たちは退きました。王はどんな用件を持ってきたのかと商人に尋ねました。

 「陛下、ご覧ください。私は美しく魅力的な奴隷を連れて参りました。この世の隅から隅まで探しても、見つからないほどです。この奴隷をご覧になれば、きっと妻にしたいとお思いになるでしょう」

と商人は答えました。

 王の命令に従って、この美しい奴隷はただちに召し入れられました。王は、奴隷を見ると、その美しさと気高さに圧倒されました。そして、恋の虜になり、すぐに結婚すると決めました。そして、結婚しました。

2015年12月20日日曜日

著作権切れ

パブリックドメイン (public domain) とは、著作物や発明などの知的創作物について、知的財産権が発生していない状態又は消滅した状態のことをいう。 日本語訳として公有という語が使われることがある。

http://yro.srad.jp/story/15/01/05/0921256/

著作権の保護期間(ちょさくけんのほごきかん)とは、著作権の発生から消滅までの期間をいう。

この期間において著作権は保護され、著作権者は権利の対象である著作物を、原則として独占排他的に利用することができる。著作権の発生要件と消滅時期は各国の国内法令に委ねられているが、世界160ヶ国以上(2009年現在)が締結する文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(ベルヌ条約)が、権利の発生要件として「無方式主義」(同条約5条(2))、著作権の保護期間として「著作者の生存期間及び著作者の死後50年」(同条約7条(1))を原則としていることから、著作権は著作物の創作と同時に発生し、著作者の死後50年(あるいはそれ以上)まで存続するものと規定する国が多数を占める。

フランシス・スコット・キー・フィッツジェラルドFrancis Scott Key Fitzgerald1896年9月24日 - 1940年12月21日)は、アメリカ小説家。一般にはF・スコット・フィッツジェラルドと称される。失われた世代を代表する作家の一人。

アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ(Ernest Miller Hemingway、1899年7月21日 - 1961年7月2日)は、アメリカ小説家詩人。彼の生み出した独特でシンプルな文体は、冒険的な生活や一般的なイメージとともに、20世紀の文学界と人々のライフスタイルに多大な影響を与えた。ヘミングウェイはほとんどの作品を1920年代中期から1950年代中期に書き上げて、1954年ノーベル文学賞を受賞するにいたった。彼は6つの短編集をふくめて7冊の小説と2冊のノンフィクション小説を出版した。3冊の小説、4つの短編集、3冊のノンフィクション小説が死後、発表された。これらはアメリカ文学の古典として考えられている。

サー・アーサー・イグナチウス・コナン・ドイル[1][注釈 1]英語Sir Arthur Ignatius Conan DoyleKStJDL[ˈɑːrθər ɪgˈneɪʃ(i)əs ˈkoʊnən / ˈkɑnən ˈdɔɪl][9] 発音例1 発音例21859年5月22日 – 1930年7月7日)は、イギリス作家医師、政治活動家。

ヴァージニア・ウルフVirginia Woolf1882年1月25日 - 1941年3月28日)は、イギリス女性小説家評論家、書籍の出版元であり、20世紀モダニズム文学 の主要な作家の一人。両大戦間期、ウルフはロンドン文学界の重要な人物であり、ブルームズベリー・グループの一員であった。代表作に『ダロウェイ夫人』 Mrs Dalloway (1925年)、『灯台へ』To the Lighthouse (1927年) 、『オーランドー』 Orlando (1928年)、『波』The Waves(1931年)などの小説や「女性が小説を書こうとするなら、お金と自分だけの部屋を持たなければならない」という主張で知られる評論『自分だけの部屋』A Room of One's Ownなどがある。


文学作品の著作権の存続期間は何年間ですか(作家が持つ著作権の場合)。


作家の死後50年


作家の文学作品の著作権の存続期間の計算はどのようにするのが正しいですか。


死亡した翌年(1月1日)から50年間

著作権の切れた外国文学を翻訳する場合について

翻訳に興味を持って、英語を勉強している者です。いずれはホームページなどで自分の翻訳を無償公開したいと思っているのですが、もしその翻訳本が流通していて、翻訳者の著作権がまだ切れていない場合、著作権の問題はあるのでしょうか?

翻訳は二次的著作物だと思うのですが、元が同じ作品なのでどうしても同じ表現が出てきてしまうと思います。著作権侵害のある程度の基準みたいなものはあるのでしょうか?

また、かなり独特の言いまわしがカブった場合、侵害の危険はあるのでしょうか?

法律に詳しい方、教えてください。



あくまで、著作権が切れていることを前提に記述します(海外の場合、切れ難い場合があるようですので、切れているかは個別に確認なさってください)。

著作権侵害(複製権侵害・翻案権侵害)は、「依拠性」(他人の著作物に基づいたこと)がなければ、成立しません。

したがって、理論上、質問者さんが、他者による翻訳を見ず、自力で翻訳すれば、他者の著作権を侵害しないことになります。理論上と記述したのは、いくら自分でそう主張したとしても、訴訟で、相手が「依拠性」の立証に成功する可能性があるためです。立証の手段(逆に言えば、防衛の手段)は、どれだけ流通しているか(有名な翻訳本であるほど、人目に触れ易く、依拠し易くなる)・被疑侵害者が所有しているか、どれだけ類似しているか、トラップ(依拠されることを防止して、わざと誤植をしたりする)に引っかかっているか、などによります。したがって、「かなり独特の言い回し」が、何箇所も被れば、依拠されたと思われても仕方がないということになります(理論上は侵害じゃないけど、訴訟で負ける可能性はある)。


著作権が切れた作家の小説などを、底本を明記した上で、無許可で出版・販売してよいか?

http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000051600

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2015年11月10日火曜日

野崎孝、中野好夫

中野好夫がアラビアンナイトの翻訳を行っている。
  • アラビアン・ナイト ディクソン編 岩波少年文庫(上下) 1959-61、のち改版

中野 好夫(なかの よしお、1903年明治36年)8月2日 - 1985年昭和60年)2月20日)は、日本の英文学者評論家。英米文学翻訳者の泰斗であり、訳文の闊達さでも知られている。

野崎 孝(のざき たかし、1917年大正6年〉11月8日 - 1995年平成7年〉5月12日)は、日本のアメリカ文学者、翻訳家。『ライ麦畑でつかまえて』など一連のサリンジャー作品のほか、フィッツジェラルドヘミングウェイスタインベックなどの翻訳で知られる。
パン屋の長男として青森県弘前市に生まれる。1929年、旧制弘前中学校(青森県立弘前高等学校の前身)に入学、常に首席を通し、語学の天才と讃えられる。4年修了で弘前高等学校弘前大学の前身)に入学。1937年東京帝国大学文学部英吉利文学科に進み、中野好夫に師事。卒業後は東京の商業学校で教鞭を執る。第二次世界大戦で出征し、中国で転戦。
復員後、旧制弘前高等学校教授。1949年から1950年まで、新制弘前大学助教授。上京後、51年中央大学文学部教授、70年東京都立大学教授、定年後、帝京大学教授。
1964年、J.D.Salingerの The Catcher in the Rye を『ライ麦畑でつかまえて』の題名で邦訳。この作品は既に1952年、"J・D・サリンガー"著『危険な年齢』として橋本福夫による邦訳がダヴィッド社から上梓されていたが、野崎は当時の深夜放送からヒントを得て、若い世代の語法と感覚に迫った訳文で当時の読書界に反響を呼び、2003年村上春樹が新訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を野崎訳と同じく白水社から出すまで、約40年間にわたって定訳の位置を占め続けた。主人公ホールデン・コールフィールド少年が一方的に語る言葉つきは50年代のアメリカのティーンエイジャーの口調を的確に捕らえたものと激賞されたが、その和訳は至難のわざだった、と訳者自身が述懐している。

2015年9月15日火曜日

ペルシャ王と海の王女@紅楼夢

昔、ペルシャに王がいたが、嫁がいなかった。商人が奴隷の女を連れてきた。王は一目ぼれして奴隷の女と結婚した。だが、奴隷の女は一言もしゃべらなかった。やがて、奴隷の女は子を産んだ。そして、語り始めた。奴隷の女は海の王女だった。

王子は順調に育った。王は引退を決意して、王子に玉座を譲った。新王の仕事ぶりは立派だった。そのうちに、旧王は死んだ。

そして、新王の嫁取りが始まった。新王は苦難を克服して、嫁を取った。

めでたし、めでたし。

マーガレットタウン@紅楼夢

訳本企画書 2008/10/20
Book Creator Aoyagi YoSuKe(青柳洋介)

“MARGARETTOWN” Gabrielle Zevin

【原書の情報など】
■ タイトル: MARGARETTOWN
■ 仮題: マーガレット・タウン
■ 作者: ガブリエル・ゼヴィン(Gabrielle Zevin)
■ 出版社: Hyperion
■ 総ページ数: 293ページ
■ ISBN: 140135242-1
■ 発行年: 2005年
■ 作者について:
1977年、ニューヨーク生まれ。2000年にハーバード大学を卒業し、映画の脚本を書いている。脚本のうちのいくつかにはオプションが付いて、そのうちのひとつ、”Conversation with Other Women”は最近、映画化された。ガブリエルは、この脚本で、2007年の Independent Sprit Awardにノミネートされた。以下の三篇の小説も書いている。Margrettown、Elsewhere、Memoirs of a Teenage Amnesiac.

■ 大筋
恋した女性マギーの中には、7歳から77歳までの年齢の異なる5人もの女性が同居していた。彼女を愛するということは、マーガレット・タウンに住む他の女たちも、同時に愛さなくてはならない。彼女たちと折り合いがついて、結婚したが、妻が浮気して破局を迎えた。そのとき、妻は娘のジェーンを宿していた。僕はジェーンを引き取り育てていたが、ジェーンが6歳のときに、妻は死んだ。僕も癌を患い、11歳のジェーンに宛てて、死の病床で物語を書いた。
その後、娘のジェーンも自分自身の街を作り、25歳で結婚した。


■ 書評:
本書は、the Barnes and Noble Discover Great New Writerプログラムで、BookSense Notableに選ばれた。また、This is That(Eternal Sunshine of the Spotless Mind)など、映画化のオプションも付いている。
(Publishers Weekly)
ぜヴィンのデビュー作。風変わりな恋愛物語。ひとりの驚くべき女性と、その夫、その娘との関わりあいを、会話を多用して表現し、女性の複雑さを描いている。夫のN.が、移り気で魅惑的なマギー・トゥンを、きまじめに描いている。N.とマギーのふたりは、マギーの子ども時代の家があるマーガレット・タウンへ旅立つ。その街には、マーガレットという名の女性だけが住んでいた。お茶目な少女メイ、ヒネクレ者のティーン・エイジャーのミア、性格がきつい中年のマージ、賢くて年長のオールド・マーガレット、そして、姿を現さない自殺願望を持つアーティストのグレタ。この女性たちがすべて、マギー自身であるという秘密は明かさない(女性の中には、他の女性が、必ず同居している)。マーガレット・タウンが、現実の街か、それともN.の作り話かは、謎のままである。本書の前半で、N.は必死になって、マーガレットの多面性を愛し、理解しようとする。両親が亡くなった後に、最終章で、娘のジェーンが父の遺稿を読む。サブプロットとして、N.の後見人である気楽な叔父、マーガレットの浮気、N.のかつての女友達との浮気などがある。結局、その女友達はN.の姉のベスと仲良くなり、いっしょにジェーンを育てる。この部分は、ときには冗長に感じられ、ひとつの短編として書いたほうが良いのかもしれない。だが、ストーリーは神秘的で風変わりであり、ゼヴィンの作風には遊び心があるし、作品は感動的でもある。


【レジュメ】
■ あらすじ:
目次:
1.ベッドの中のマギー
2.昔、昔
3.甘美な拷問
4.ささやき声
5.紙の中の男
6.ジェーンの街

主な登場人物:

マギー 主人公の女性
N. マギーの恋人、夫
オールド・マーガレット 77歳の老婆
マージ 52歳の中年女性
グレタ 39歳の自殺願望を持つアーティスト
ミア 17歳のヒネクレ者
メイ 7歳のお茶目な少女
ベス N.の双子の姉
ジャック N.とベスの後見人
L(リビー) N.の前の恋人
ジェーン N.とマギーの娘
ジェイク ジェーンの結婚相手

あらすじ:

1.ベッドの中のマギー
(マギーと出会って、恋に落ちるまで)
僕が初めてマギーと出会ったころ、僕は半地下のアパートに住んでいた。僕の姉のベスとマギーが、僕の部屋を定期的に訪れていた。そのころ、僕は大学で、倫理学の助手をやっていて、マギーは僕の生徒だった。マギーは25歳で卒業し、そのとき僕は31歳だった。
マギーが卒業した後の夜、マギーが、「私は呪われているの」と言った。
最初はその意味が分からなかったが、僕は、マギーに「愛している」と告白し、マギーも「愛している」と答えてくれた。僕には、恋人のLがいたが、マギーを愛してしまった。
そして、マギーは、「私はマーガレット・タウンから来たのよ」と告げた。
「ジェーン、君の母は、19XX年にマーガレット・タウンで生まれた。生まれたときは、マーガレット。少女のころは、メイ。ティーン・エイジャーの時には、ミア。大人の女性のマージ。そして、死ぬ時には、ふたたびマーガレットになった」
僕は、マギーを心の底から好きになり、恋の病に落ちた・・・
僕はマーガレット・タウンにある彼女の家に、2、3日滞在して、自分の部屋に戻る予定だった。だが、足の骨を折ってしまい、そのひと夏を彼女の家で過ごすことになってしまった。

2.昔、昔
(恋の病を患って、結婚するまで)
その家は、マルガロンと呼ばれていた。
「私は、オールド・マーガレットよ、あなたのことは知っているわ」と彼女が言った。
「マギーとはどういう関係ですか?」と僕が尋ねると、
「どのようにして、マギーと赤い糸で結ばれたの?」と彼女が聞き返した。
僕が答えに窮していると、
「もちろん、からかっているだけよ」と彼女は笑った。
オールド・マーガレットから、グレタの話が出た。グレタとは、だれなんだろうと僕は考えた。
「ここには、他に誰が住んでいるのですか?」と僕は尋ねると、
「私と、マージ、ミア、メイ、そして、今はマージが戻ってきたわ」と彼女は答えた。
つまり、その夏は、マギーを含めて、5人の女性がマーガレット・タウンにいた。
この5人の女性たちと食事などをしながら過ごすうちに、彼女たちに圧倒されている自分に気がついた。
そこで、ジャック叔父さんに迎えに来てもらおうと電話をしたが、今、タヒチにいて、三週間は迎えに行けないと、答えた。
その後、マーガレット・タウンの女性たちと過ごしていたが、ジャック叔父さんが心臓発作で死んだと、ベスから電話があった。そのため、僕は葬式に出るために飛行機でボストンへ行った。そのときには、足の具合もかなり良くなっていた。
飛行場まで、マギーに送ってもらったが、「もう一度、会えるかしら? 戻ってきたくなければ、戻ってこなくて良いのよ。葬式が私たちふたりの終止符かもしれないわ」とマギーが言った。「戻ってくるよ」と僕が答えると、「戻ってこなくても、あなたを恨みはしないわ」とマギーが言った。
ジャック叔父さんの遺産が入って、復職する必要がなくなった。マギーに真珠の婚約指輪を買って、マギーの家へ行き、プロポーズすると、マギーは申し出を受け入れた。そのとき、オールド・マーガレットはベッドの上で死んでいた。ミアとマージは書置きを残して、いなくなっていた。メイに声をかけると、不思議なことに、赤い小鳥になって飛んでいった。
僕たちは小さな結婚式を挙げた。彼女は新しいマーガレットになっていた。彼女はマギーだった。僕は彼女のことを本当には理解していなかったんだと思った。

3.甘美な痛み
(結婚の破綻)
1月、マギーはアンティークなどを扱うギャラリーを開いた。レア本と流行物を扱う隣のギャラリーの男は、マギーをメグと名づけた。メグと呼ばれるのは初めてだった。
2月、メグの店の四角い小さな看板が落ちたが、隣の男が取り付けてくれた。
3月、隣の男がメグの店に妻を連れてきた。メグは隣の男の妻よりも、自分の方が綺麗だと思った。また、隣の男よりも、自分の夫のほうが上だとも思った。夫はそれほどハンサムではないが、セクシーだ。セクシーさは、男を実際よりもハンサムに見せる。
4月、メグと隣の男はほとんど毎日、いっしょに昼食をするようになった。隣の男に見られると、メグは顔が赤くなる。「何か隠しているね?」と隣の男が言った。「いいえ、私には隠し事なんてないわ。ありのままよ」とメグは答えた。「人は望みと逆のことを言うときに、ありのままよ、と言うものさ」と男が言った。
5月、隣の男が万引きを捕まえてくれた。だが、メグが警察を呼ばずに、万引きを逃がしてあげたので、隣の男はメグに失望した。それは、男がそれまでにメグに対して示した最も強い感情だった。理由は分からないが、それはメグに喜びをもたらした。メグは隣の男に恋をしていた。
6月、メグは隣の男との恋に落ちて、恋患いをしていた。
7月、メグは31歳になった。隣の男は、マーガレット・タウン・シネマと描かれた電飾をプレゼントしてくれた。メグはとても気に入った。「のみの市で見つけたんだよ。君のことが浮んだ」と男は言った。
メグの夫は、メグが持ち帰るガラクタにウンザリしていて、メグと口論になった。メグと夫の間には隙間風が吹いていた。メグはこの特別な夜を境にして、夫に宣戦布告することにした。
8月、メグは夫と別れようかと考え始めた。だが、別れるのは、いろいろと大変だ。
9月、メグは、夫が昔の婚約者と昼食をしているのを見かけた。メグは気にしないことにした。だが、後で使うために、メグはこの様子を記憶した。
10月、メグは隣の男と寝た。
11月、高校時代の恋人で、ユダヤ教のラビに、隣の男のことを相談した。ラビは答えた。「愛とは甘美なる拷問だ」、と。
謝肉祭のころ、風邪をひいたと思っていた。妊娠していたのだが、さらに6週間、その事実に気づかなかった。
12月、ギャラリーの契約が切れる。メグは看板を降ろすことにした。ギャラリーからの帰り道、メグは自殺を考えた。大学時代のルームメイトの自殺を思い出した。
メグは、夫に宛てた手紙を書こうと思ったが、書く事がない。バスルームへ行き、カミソリを手首に当てた瞬間に、吐き気に襲われる。自殺は、他日にする。今日のところは、歯を磨き、かみそりを捨てて、夫のもとを去ることにした。

4.ささやき声
(マギーの子どもたち)
最初から、ふたりいたが、ふたりいることを知らなかった。ひとりが考えた。私はひとりなのかな? もうひとりが答えた。ひとりじゃないよ。
でも、ここは真っ暗だね? そうだね、真っ暗だ。だれかが外にいる。外って、何?ほら、心臓の音が聞こえる。私たちの心臓の音じゃないわ。もっと、大きくて、強い音。
数週間が過ぎた。声が聞こえる。音楽よ。僕には聞こえない。まだ、僕の耳はそれほどよくないみたい。ボブ・ディランかだれだか知らないが、ボブ・ディランのような気がする。
「ハロー、ベイビー」とマーガレットがささやいた。あれ、お母さんの声だよ。ひとりをジェーン、もうひとりをイアンと呼んでいる。私たちはずうっと、ここにいるのかな? 分かんない。
イアン、あなたは私ほどには大きくなっていないね。僕もそう思う、とイアンは認めた。私には、肺と親指がある。イアン、あなたにはないようだけど。僕の肺は小さいだけ。親指もそのうちに生えてくるよ。でも、僕には脚の間に、もう一本の親指がある。
8月、マーガレットはまるで太陽のように熱いと感じた。まるで太陽のよう、まるで惑星のよう、まるで宇宙のよう。自分はひとつの宇宙であり、ゴッドであると感じた。
そのときが来たのに、イアンはまだ準備ができていなかった。僕の肺はまだ十分に成長していない。僕は小さいんだよ。僕にとっては、まだ、そのときじゃないんだよ。僕たちはふたりの世界で、とても幸せだった。きっと、こういうのを幸せというんだよ。ジェーンも、そうだと思った。
マーガレット・トゥンの中で、ジェーンの幸せなひとときだった。

5.紙の中の男
(結婚生活とマギーの死、自分の死)
新婚旅行はバリ島だった。マギーはロシアの人形マトローシュカのようにいろいろな面を内に秘めている。しかし、実際には何百もの細かい面がある。いっしょに生活していくにつれて、いろいろなことが分かってくる。マギーは実際は赤毛ではなかった。染めていたのだ。本当に気を許すといろんなことが見えてくる。薄いひげ、ブラのサイズ、お尻のできものなどまで分かってくる。
結婚後、2年経ったころ、マギーはマーガレット・タウン・シネマと書いた古い電飾看板を持ってきた。私にとって大事なものなんだけど・・・ 僕がため息をつくと、彼女はそれを持ってどこかへ行った。
マーガレットが僕の元を去るまでの数ヶ月は、僕をほったらかしにした。その夜、僕はマーガレットが僕を騙していることを確信した。マーガレットは僕がLといっしょに食事をしていたのを見たはずだが、見て見ぬ振りをしていたのか?
パーティでマーガレットの恋人を一度だけ見たことがあるが、僕より老けていたし、頭は禿げていた。彼女の恋人を見た日、僕はLと寝た。マーガレットは、僕がLと寝たと聞いても、笑うだけだった。
翌日、マーガレットはスーツケースを持って、リビングルームにいた。僕はこの瞬間を想像していたので、それはデジャヴのようだった。
「何しているの」と僕が尋ねると、マーガレットは、「マーガレット・トゥンに戻ります」と答えた。
そして、「落ち着いたら、住所を知らせます」と言ったが、それっきり連絡はなかった。
ジェーン、君がこの話を読むころには、僕は死んでいるだろう。君がサマーキャンプから戻る前に死にたい。君にとって、僕は紙の中の男になる。
マーガレットがいなくなって、誠実とは何かを学んだ。ゴッドを信じている人と同じように。彼女が戻ってこなくても、彼女を愛していることは、僕には分かっていた。悲しいことに、僕たちは愛する人がいなくなって、愛するということを本当に理解する。
僕の物語の中で、もっともあり得ないことが起こった。マーガレットが戻ってきたんだよ。彼女は3歳くらいの女の子を連れていた。君だよ、ジェーン。そして、君は、名前で呼んだほうがいいか、お父さんと呼んだほうがいいか、と僕に尋ねた。
マーガレットが死ぬとき、僕がどのように感じたか。マーガレットは死ぬまでの6ヶ月間、それほど衰えるということはなかった。僕は医者に見せるように勧めたが、彼女はそんな気はないようだった。
「医者に見せてもダメだわ、私は衰えた、日々、衰えていく。それがすべてよ」。
マーガレットは僕の心を読むことができた。
「私は死ぬわ」と微笑みながら言った。そのひと月後に、彼女は死んだ。
ベスはお母さんの死について、別のことを言うかもしれないが、ジェーン、君に言っておく。お母さんは自然に亡くなったのだよ。
マーガレット・タウンがどこにあるかは、君自身で尋ねれば良い。僕がまだ若かったころ、それは、ニューヨークの北、マルボロとニューバーグの間付近にあったと思う。マーガレット・トゥンの地図が必要かもしれないので、今書いている。不完全な地図だが、おおまかな方向を示しているはずだ。
ジェーン、愛にはいろんな面がある。でも、これだけは伝えたい。
ドライブしているが、それがいつの日かを知ることはできない。方向を間違えるかもしれない。だが、最後には、思いがけなく、その人がそこにいる。
ジェーン、その人が君にとってのひとつの街だ。彼の中にいろんなものを見出す。そこが、君が知らなかった家になる。そこには、愛や悲しみや、そして他にも、いろいろなものがある。太陽の下にあらゆるものがある。何があろうとも、ジェーン、君の中にはジェーンの街がある。
ジェーン、僕は死ぬ。僕は46歳だが、死ぬには若すぎると思う。これは悲劇かもしれない。だが、
ジェーン、僕は君の中に無限を見つけた、君の中で、僕は生まれ変わった。
追伸
少し長くなった。もうじき、僕はマーガレット・タウンに帰るだろう。着いたら、はがきを出す。はがきが届かない場合もあるので、ここに書いておく。
ジェーンへ
母の名前は、マーガレット・メアリー・トゥンです。
19xx年に、NYのアルバニーで生まれた。僕たちは大学で出会って、まもなくして結婚した。
・・・
・・・
愛する、ジェーンへ
マーガレット・タウンの目印は
「マーガレット・タウンへ。ようこそ。住人2名」

6.ジェーンの街
(ジェーンが生まれてから結婚するまで)
ジェーンは産声を上げながら生まれて、半年間も泣き続けた。ジェーンほど泣く赤ん坊はめったにいない。半年たつと、泣くのをぴたりと止めた。
6歳のとき、母親が死んだ。この年頃では、死の意味が理解できないのが普通だが、ジェーンは完全に理解していた。
8歳のとき、飼い猫のガトウに母の魂が乗り移っていると思った。だが、ジェーンは猫アレルギーになってしまった。
11歳のとき、父が死んで、父の姉であるベス伯母さんに引き取られた。ベス伯母さんは、アリゾナのフェニックスでパートナーの女性リビーといっしょに住んでいた。ジェーンは「伯母さんたちはレズビアンなの?」と尋ねるようなストレートな子だった。
13歳のとき、家族についてのエッセイを書いた。記憶が薄れている箇所などは、作り話を書いた。想像力が豊だったが、作文の成績はいまひとつだった。
15歳のとき、処女を失ったが、たいした事ではないと感じた。
16歳のとき、二度目の経験をした。二度目のときは最初とはまったく違っていたので、このときをロスト・バージンに決めた。
18歳のとき、大学に入学した。このころは、寝てばかりいた。ただただ眠かった。大学はそれまでの人生でもっとも寝心地が良かった。
20歳のとき、大学の文芸誌の短編小説コンテストに応募した。ジェーンの作品は入賞すらしなかった。レイモンド・カーヴァーの文体を真似てみたのだが、内容が平凡だった。父親がジェーンに宛てて書いた物語を、ベス伯母さんが送ってきた。
21歳のとき、マーガレット・タウン・シネマと書かれた看板を修理することにした。寮のドアに飾ろうと思った。ジェイクが修理してくれた。
22歳のとき髪を切ることにした。髪を切っても、ジェイクの態度が変らなければ、ジェイクは本当に自分を愛しているはずだと、ジェイクをテストしてみた。ジェイクは新しい髪型を見てキスの雨を降らし、ふたりはセックスをした。ジェーンは、ジェイクが最良とは思わなかったが、パートナーにすることに決めた。
25歳のとき、ジェイクと結婚した。いつか、ジェイクを嫌いになるかもしれないと言うと、ジェイクは今日がその日じゃないさと答えた。僕はそうならないことを望むよと言った。ジェーンは笑った。その日が来たら、ジェーンは言うべきことを知っていた。

■ 所感
遊び心も加味しながら、男性と複雑な女性との恋愛の様子、両親、娘、周りのひとなどの人間関係も、上手に描き出している。ストーリーは風変わりで謎めいているが、文体は平易で、会話を多く使っている。結婚を望んでいる若い女性や、複雑な女性心理に戸惑っている男性などが、主な読者だと考えられる。
ひとことで言うと、女の子の考えそうな世界。
「ふたりのため、世界はあるの」
ハードカバーの表紙にもあるが、赤い糸でも、青い鳥でもなくて、赤い小鳥なのかな?
赤い小鳥がふたりをマーガレット・タウンに導いて、恋が成就すると、赤い小鳥はどこかへ飛んでいく?
赤い小鳥とは?
女の子が小さなときに創り上げた恋と愛のひとつの幻想の世界の象徴ではないのかな? そして、男はその幻想の世界で道に迷ってしまう・・・
この小説では、幻想の世界に、おばあちゃん、お母さん、自身、思春期の自身、赤い小鳥、そして、それらがない混ぜになって、思いが叶えられない自殺願望のアーティスト(もうひとりの自分)がいる・・・
赤い小鳥の幻想を実現できなかった女性は多いのでは?
そして、マーガレットはそのような女性のひとりなのかもしれない? だが、これが現実の世界なんだろう・・・ 幻想の恋と愛と現実の世界の狭間を漂う女と男たち、、、
そして、女たちは、赤い小鳥の幻想の世界を叶えてくれそうな男を、私の王子さまと呼ぶのだろう。
My Prince Will Come.
というジャズの曲があるが・・・

[試訳]
(2章の一部、原著P45~P52)
2章 昔、昔
1.
その家がマルガロンと呼ばれていることをだれから聞いたかは覚えていない。もしかしたら、だれも言わなかったのかもしれない。おそらく、どこかで見たのだろう。家の玄関かどこかに表札が付いていたかも思い出せない。マーガレット・タウンを訪れたころの様子ははっきりしていない。
マルガロンへ連れて来られたことも思い出さない。(そこへ来ているのに、どのようにして来たかを思い出さないのは不思議な気がする)。他のいろいろな記憶を繋ぎ合わせて、着いたころのことを思い出すと、以下のようだった。
湖をまたぐ橋を越えて、崖の脇に沿って車を運転している。その橋を越えると、二本の舗装されていない道に分れる。だが、二本の道は最後には同じ地点に至る。そこには源泉がある。マルガロンは、その源泉を越えた地点の二つの丘の間にある。
マルガロンは、光の具合で、ベージュに見えたり、黄色に見えたりする。家は三階建てだが、東のほうから見ると、一階建てに見える。建て増しのため、西側は見栄えが悪い。その付近の他の家と違って、スペイン・タイルでできたマルガロンの赤い屋根は、その場所には不釣合いに見える。家の前の庭はまったく平らというわけではないが、なだらかで広い。白い小道が玄関へ続いている。その小道は、前方から見ると分からないが、後方から見ると二本に分れている。(そのうちに、プールを作ろうと計画していた)。
マルガロン家の正式な招待ではなかったため、初めのうちは彼女に任せきりだった。十分に様子を把握しなかったので、いつも目新しいものが目に付いた。湖はあったかな? 前の庭にツリー・ハウスはあったかな? 洗面所は三階だったかな?
マルガロンの家はなじみやすく思えたし、たぶん、女性たちも同じような感じだった。
事故を起こした後、一週間かそこらして気がついたときには、僕はマルガロンの一階にいた。そこは客用の寝室だと思っていたが、後になって、そこはマージの部屋だと分かった。だが、マージはその部屋を気持ちよく貸していたわけではなかった。
足は柱に吊り下げられていて、ベッドの脇に年老いた女性が座っていた。
その女性はかなり年配で、僕にとって女性だと思える年齢を超えていた。百歳近くではないかと思った。目は淡い茶色で、本物の歯は黄色で、入れ歯は真っ白だった。爪は長くて、先を鋭く尖らせていた。とても痩せていて、黒っぽいツイードのスーツを着ていた。そして、ストッキングと黒い矯正用の靴を履いていた。清潔に見えたが、老齢によるカビ
臭さが身の回りに漂っていた。歳にふさわしくないエンジ色の口紅をつけていた。その口紅のため、彼女の口はいくぶんか不釣合いに見え、不自然な感じで若く見えた。
「私はオールド・マーガレットよ」と彼女は言った。
「僕は、、、」
僕がしゃべろうとするのをさえぎって、
「あなたのことは知っているわ」と彼女は言った。
「マギーと関係があるんですか?」と僕が尋ねると、
「関係があるわ」と彼女は笑った。
彼女の口元を見ながら、
「あなたとマギーの関係のことを言っているのですが」と僕が言うと、
「あなたは、また、ここへ来るの? どういうつもりで、マギーの指に糸を巻きつけたの?」と彼女が尋ねた。
「つまり・・・、マギーはそのことをあなたに話したのですか?」と僕は切り出した。
「もちろん、からかっているだけよ」と彼女は笑ったが、僕はその言葉に少しだけ圧力を感じた。
「たばこを吸ってもいい?」
僕がうなずくと、
「このことは、だれにも言わないでね」と彼女は言った。
オールド・マーガレットは窓を開けて、たばこに火をつけた。
「グレタはとても古いタイプなので、あなたにたばこの火をつけさせるはずよ。でも、私はそんなには古いタイプではないわ。もちろん、あなたが火をつけてくれるなら、それはそれでかまわないけど。そのほうが紳士的よ。でも、あなたはそのようには見えないわ。私たちには妥協が必要なようね」
グレタとは、一体だれだろうか、マギーも歳を取るとこんな様子になるのかな? と僕が考えていると、
「いいえ、マギーはたばこを吸わないわ。私は十三歳の時からたばこを吸い始めた。とても早かったのよ。そのころは、癌や肺気腫やその他の馬鹿げたことも、私たちは気にかけなかった。私はまだ七十七歳よ。でも、私はもっと老けていると、あなたが考えていると、私には分かるわ。私たちは年齢を当てるのが得意なだけよ。他のだれであっても、老けて見えたり、若く見えたりするわ。ある意味で、ちょうど私たちの年齢がもっとも人間らしいのかもしれないわ」。
僕が声を出して話したのかな? と思っていると、
「私は人の心を読むことができるのよ」と彼女が答えた。
「その変化が起きた後から、私にはその能力がついた。さらには、人の感情を読む能力もついたのよ。実際は、これらは同じ能力なのかもしれないけれど」。
彼女は空気の匂いをかぎながら、
「あなたは怪我をしている匂いがするわ。でも、たいした怪我ではないのは明らかよ。脚を怪我しているの?」と彼女が言った。
「それほどひどくはないです。不快ではありますが」
「鎮痛剤をたくさん飲ませたのでしょうね。そろそろ痛みが出てくるわ。私は人工股関節に置きかえる手術をしたので、その辺の事情は分かっているわ」と脚を吊り下げている柱を叩いた。
「あなたは、少なくとも二週間は寝ていなくては駄目でしょうね。マギーが言っていましたよ。あなたが退屈しないように、私たち独身女性が楽しませてあげられば良いなと思っていますよ」
「ところで、あなたはだれですか?」
「オールド・マーガレットよ」
理解するのがなんと遅いのだろうと言いたげに、彼女は繰り返した。
「マギーがあなたの名前をつけたのですか?」
「マギーが私の名前をつけた、ですって?」
「はい、僕はそう思いました」
「あなたは、マギーのおばあさんですか?」
「私が若すぎて、マギーのおばあさんには見えないのかな?」
「いいえ、そうではありません」と僕はゆっくり返事した。
オールド・マーガレットはため息をつきながら、
「私がマギーのおばあさんだって。なんてひどいんでしょう」と言った。
オールド・マーガレットは少しボケているのかな。
「私はボケてはいません。そんなことを言うなんて、無礼すぎるわ」と彼女は言った。
「そうは言っていません。思っただけです」と僕は抗議した。
「その違いを区別できないときもあるわ。この件については、互いに譲歩が必要なようね。あなたが、実際にそう言ったのなら、それは私をひどく傷つける。でも、そう思っただけなら、痛みは少ないわ」
そのふたつの違いが僕にはよく分からなかった。
「つまり、あなたが声を出して言ったなら、あなたは私を傷つけたでしょう。私たちは自分が思っていることを、それほどうまくは扱えないのよ。例えば、私がこの部屋に初めて入ってきたとき、私がかび臭いと、あなたが考えたことを私が知ったら、それも私の気分を害したかもしれないわ。でも、気分を害しながら、生涯をすごすような人がいますかね?」
「ごめんなさい」
「ところで、モスボール(防虫剤)のことなんですけど。私は六十五歳を過ぎてから、それまでには経験したことがなかったモス・プロブレム(虫の問題)が悩みのタネになったわ。この問題について、あなたはどう思う?」
「僕には分かりません」
「若い人には、何故モス・プロブレムがないのでしょうね? 老人にはモスはベッドの友なんだけど、そうは思わない?」と彼女が尋ねた。
「すみませんが、少し疲れました」と僕は答えた。
「そうですか、分かりました。気がきかなかったわね」と彼女は言って、たばこを取り出して、足を引きずりながら、ドアの方へ歩いていった。彼女には人工股関節手術の後遺症が残っていて、明らかに足を引きずっていた。
「ここにはだれが住んでいるのですか?」と僕は尋ねた。
「私、マージ、ミア、メイ、そして今はマギーが戻っているわ。おそらく、メイはそれほどみかけないでしょうね。彼女は外が好きだから。かつては、もうひとりいたのですが、行ってしまった。決して戻らないと思うわ。行ってしまった」
「ここにいる人たちは、マギーの」僕は思い出そうとした。「おばさんたちですか?」
「そうよ」と彼女は言った。
「あるいは、そのようなものだわ。私のおしゃべりで、疲れさせてごめんなさいね。少女のころは、私はとても静かだと見られていたのよ。とても不思議なんだけど、年老いた今は、とてもおしゃべりになったわ。」
彼女は優しくドアを閉めた。実際、ドアを閉めるのに、十分くらいかかったような気がした。ジェーン、もしかしたら、ドアをパタンと閉めたほうが、良かったのかもしれない。




マーガレットタウン

                            ガブリエル・ゼヴィン 著
                            青柳洋介 訳

マミーとダディーへ


 ベッドの中のマギー

 昔、昔

 甘美な拷問

 ささやき声

 紙の中の男

 ジェーンの街



主な登場人物:
マギー 主人公の女性
N マギーの恋人、夫

オールド・マーガレット 七十七歳の老婆
マージ 五十二歳の中年女性
グレタ 三十九歳の自殺願望を持つアーティスト
ミア 十七歳のヒネクレ者
メイ 七歳のお茶目な少女

ベス Nの双子の姉
ジャック Nとベスの後見人
L(リビー) Nの前の恋人

ジェーン Nとマギーの娘
ジェイク ジェーンの結婚相手





ベッドの中のマギー


 マーガレットと初めて出会ったとき、僕はアパートの地下室に住んでいた。家賃はリーズナブルだった。他の物件と比べて、ロケーションは良かった。理想的とまではいかないが、地下からの眺めは面白かった。靴、ふくらはぎの一部、子犬、よちよち歩きの子供の姿が三分の一くらい見えた。僕は訪問者を靴で見分けられるようになった。その頃の常連客は、スウェードの安物のサンダルをはいた姉のベス、それに、気分で履物を変えるマーガレットのふたりだった。
 僕は奇妙な地下室生活を送っていた。昼と夜の違いは重要ではなかった。ご立派な地上では見られない虫やゴキブリなどが僕の相棒だった。雪が解けると、地下室は水であふれた。ゴミの収集日は窓を閉めていなければならなかった。アパートには暖房設備がなかった。年の平均室温は八度くらいだった。上階のテナントの人でさえ、僕を変な目で見ていた。地下室に住んでいる男だというレッテルを貼られていたようだ。
 僕が持っていた家具は、大学院の学生だったころに、大学から盗んできたものだけだった。ベッドではなくて、長めのマットレスをふたつ持っていた。ひとりで寝るときは、マットレスを重ねて使った。お客が来たときは、くっつけて並べた。前年のお客はマーガレット・メアリー・トゥンだけだった。そのころ、彼女はマギーと呼ばれていた。
 努力したにもかかわらず、マットレスはばらばらになった。夜の間に、必ず、ミステリアスなすき間が生じた。五十年代のテレビ番組のように、結局はふたつのマットレスの上で、漂流することになった。ある夜、マギーが腹ばいになって僕のマットレスに侵入してきた。寒いわ、離れたくないわと彼女は言った。
 大学を卒業した後のある夜(彼女は二十五歳だった、大半の学生よりも年上だった)、僕が目を覚ますと、マギーがマットレスのすき間で、胸の間に膝を抱えて、すすり泣いていた。マギーの顔は、長い直毛の赤毛で覆われていた。僕は具合が悪いのと尋ねたが、マギーは長い間黙っていた。そして、最後に
「わたしは呪われているの」と言った。
「そんなことないよ」と僕は言った。そして、考え直して
「呪われてるって、どういう意味だい?」
「わたし自身のことなの」とマギーは言った。
「どういうことなの、マギー?」
「わたし自身のことなの。それを知れば、あなたはわたしを嫌いになるわ。わたしには分かっているわ」
 僕はマギーを嫌いになることはないと確信していた。実際、彼女を愛していた。
「わたしはあなたが考えているような女ではないわ。わたしはわたしなんだけど、違う面もあるのよ。あなたが考えているわたし・・・わたしは普通の女とは違うわ」
「分かってるよ、マギー」と僕は言った。
「マギー」
そのとき、僕は三十一歳だった。マギーのジレンマはまさに二十代前半の典型であるように思えた。
「マギー、誰でも経験する通過儀礼だよ」
マギーは髪の毛の下から僕をじっと見て、頭を振った。そのまなざしは僕を落胆させた。
「明日からは変わるわ・・・悪くなるのよ・・・数カ月はとても素敵だったわ。わたしはこの地下室が好きだった。わたしはこの地下室にいるふたりを愛したのよ」
マギーは憐れむように僕の額にキスをした。マギーは初めて隣のソファに戻って寝た。
その夜、マギーは穏やかに眠った。だが、僕は目が覚めて眠れなかった。横になったまま、マギーのことを考えていた。おそらく、マギーの駆け引きだろうと思った。
僕は昨年の十二月、マギーの世界について考えていた。そのころ、僕たちは初めていっしょに寝た。また、いっしょに寝ることがあるか僕には確信を持てなかった。マギーは僕を見て笑った。そして、僕の名前を呼んだ。マギーは僕が先に見るのを待たなかった。
「やっぱり、このブーツを履くのはうれしいわ」とマギーは言った。
「出かけるときは、冬用の木靴を履いていたの。でも、この間からは、このブーツに変えることにしたの」 
僕は彼女のブーツを見た。ブーツは薄手で、つま先とかかとが尖っていた。大して暖房効果がないように見えた。
「お気に入りのブーツなの?」と僕は尋ねた。
「木靴と比べればね・・・」とマギーは笑った。
「あなたはお気に入りじゃないみたいね?」と言って、また笑った。
「僕はそう感じた。君は取り巻きの連中か前の男のところに行きそうだね・・・」
「もしそうなら、その靴を履いたままなの?」
マギーはうなずいて、ゆったりと笑った。
「そうよ・・・」と言った。
余裕綽々の笑顔。ジーザス・クライスト。


+§+


他の日は、マギーはいびきをかいた。また、他の日は、僕はマギーのことを思って、愛しているよと言った。
「愛しているよ」と僕は言った。僕がそう言うと、見張っているかのように、車がクラクションを鳴らした。マギーが僕の言葉を聞いているか確信が持てなかった。「愛しているよ」と自分に繰り返し言い聞かせなければならなかった。
マギーはまごついているか、あるいは、喜んでいるかのように見えた(マギーの顔は、いつも、何となく曖昧で、感情が同じような表情で現れる)。しかし、何も言わかなった。しばらくすると、彼女は通りへ出た。
六時間ばかりして、電話が鳴った。
「愛しているわ」と言って、電話を切った。
このすれ違いは、多少なりとも意味があったのか? もしも、時間差がないとすれば、彼女は本能で愛してるわと言っていたと思いたいが。良かれ、悪かれ・・・ とにかく、あなたが男を釣れば、男もあなたを釣ろうとする。その時間差は本能ではないと僕には分かっていた。マギーは僕の愛の宣告を受け入れて、六時間後に返事をしたほうが良いと思っていたのだろう。時を置いて、イエスと答えた。結局は、彼女が本気で言ったと信じる理由となる。
僕はマギーに愛してると言った時、ある感情を表現した。その当時には、そのような感情をあまり持っていなかった。僕は何らかのもの以上の返事を期待していたと思う。あるいは、そう言いたかっただけなのかもしれない。人は楽観的なウソをつくこともあれば、必ずしも本当でないことを言うこともある。今回はそのようなケースだった。僕はその時間差のために彼女を愛した。

ベッドルームの窓から見える歩道は明るいグレーに見えた。遅かれ早かれ、だんだんと明るいグレーになった。それは、人の見方にもよるのだが・・・ 今夜は眠れないと思った。眠らずに、ベッドの中のマギーのことを考えた。マギーと初めて出会ったころ、マギーがどのように寝ていたかを考えた。
マギーに出会う前から、トゥン・マーガレット・エムという名前は知っていた。それは、無意味な名前の羅列の中にあった。マギーは必修科目の哲学コースの生徒だった。僕はそのティーチング・アシスタントをしていた。学期の半分は終わったが、マギーはディスカッション・クラスを欠席した。このクラスを取るのに少なからずとも一度は悩んでいたのだが。僕は彼女のためにメッセージを残し、手紙も書いた。ティーチング・アシスタントがやるべきことは進んでやった。その当時、大学は、「パーソナル・アテンション」を推進していた。巨大な組織、あるいは、ばかげたものの中にある教養学部の本当に小さなカレッジだった。パーソナル・アテンションが意味するところは、僕がトゥン・マーガレット・エムを落第させる前に、少なくとも一度は会うことだった。
 マギーはコンクリート・ブロック造りの寮に住んでいた。そこは、既婚者、交換留学生、移籍者、年長者などのはみ出し者を収容する場所として知られていた。各々のカレッジはそのような寮を所有していた。そのような評判を心に抱いて、エレベーターに乗って、彼女の部屋へ行った。
 彼女の部屋があるフロアには、外国人だと思われる生徒が数名たむろしていた。レオタードを着た女生徒が赤いふわふわした食べ物を差し出した。僕は丁寧に断って、マーガレット・トゥンの部屋がどこにあるか尋ねた。彼女はため息をつきながら、廊下を指差した。
 マギーの名前はドアの白板に紫色のインクで書いてあった。マーガレットのエムの文字、上半分と、トゥンのイーの文字が消えていた。手書きの文字は旧式で正確だった。教室がひとつだけの校舎でペン習字で訓練したかのような文字だった(おそらく、そんなとこだろう)。僕は、マーガレットは大学にあふれている軽薄な女の子の類いだろうと覚悟した。ドアをノックすると、ぱっと開いたので驚いた。部屋は幅が三メーター、奥行が二メーター程度で、三方はコンクリート・ブロックで囲まれており、監獄の独房のようだった。縦長の標準品のツインベッドしか置くスペースがなかった。七つばかりのマットがベッドの縁に積み上げられていた。そのマットの一番上にいたのがマーガレット・トゥンだった。赤くて長い髪の毛はもつれて少しばかりもじゃもじゃしていた。眼の下には黒いくまがあって、今にも、泣き出しそうか、笑いだしそうかに見えた。おそらく、疲れ切っていたのだろう。(ジェーン、マットレス七つの上に乗っている人は、かなり高いところにいると思うだろ。大学のマットレスはとても薄っぺらなんだよ。マットレス七つ分で、だいたい通常の二つ分だよ)
「とても疲れてるの。何年も寝ていないように感じるわ」と彼女は言った。
「マーガレット、僕はティーチング・アシスタントの・・・」
「あなたは疲れているように見える」とマーガレットが遮った。
彼女の言いぶりに、僕はほとんど泣きそうだった。
「うん、僕は疲れている」
「良ければ、ここで寝たら」と彼女は申し出た。
「君のベッドで?」僕は信じられなかった。
「そうよ」
そして、僕は寝た。このような申し出はそうあるものではない。
翌日は金曜日だったが、僕はその午後に目覚めた。彼女は僕を見て、
「よく寝むれた?」と聞いた。
「うん、このマットレスは何のためにあるの?」僕はあくびをしながら答えた。
「私が眠るのを助けてくれるのよ。でも、それほど効果はないわ」とベッドから出ながら答えた。
「歯を磨くわ。寝る前に磨きたかったんだけど。あなたを起こしたくなかったわ」
僕はマーガレットのベッドで寝た。よく眠れて幸せだった。僕はベッドの中央へ移動した。そのとき、小さなしこりがあるのを感じた。小さいが明らかにしこりである。僕はベッドから降りて、一番上のマットレスを持ちあげた。何もなかった。二枚目、三枚目、四枚目、五枚目、六枚目。なし、なし、なし、なし、何もなかった。そして、最後の七枚目のマットレスを持ちあげた。それは、ベッドの枠の脇にあった。ペンがあった。古びた黒のビック。ペンの端を少しばかりかじった跡があった。一ドルで十本買える類いのものだった。
彼女が部屋に戻ってきて、頭を傾げた。
僕はその邪魔物を彼女に見せた。
「君はペンの上に寝ていたよ」
「ペン」彼女は笑いながら言った。
「まあ」彼女は僕からペンを取り上げて、ずいぶん長い間ペンを見ていた。彼女は僕にキスをしてお礼を言った。そして、また、キスをした。彼女はうれしそうにベッドに戻って、僕を招いた。ジェーン、僕は招きに応じた。
「マーガレット」と言うと
「私はマギーと呼ばれてるの」と彼女は言った。
「マーガレットと呼ばれると、誰のことを呼んでいるのか分からないわ」彼女はゆっくりと眠たげに笑って、横向きになった。
「ペンは、まだ書けるかしら」
「おそらくダメだよ、かなり古びている」
「でも、書けると思うわ」彼女はこだわった。
僕はベッドから降りて、一枚のルーズリーフを見つけた。インクを出すために、おおざっぱな試し書きを始めた。
「ダメみたい」おおよそ一分後に言った。何度も繰り返したので、紙が破れ始めた。
「続けて、お願い」と彼女は言った。
なので、僕は続けた。ハートのマークを書いた。アルファベットを書いた。そして、自分の名前を書いた。そのとき、インクが出始めた。
マーガレットは笑った。「ハッピーよ」と彼女は言った。
「どうしてこんなにハッピーか分からないわ。でも、ハッピーなの」
彼女は生まれて初めて見たかのように、そのペンを見た。
「それは、あなたの名前なの?」僕の筆跡をチェックしながら、彼女は聞いた。
「そうだよ」と僕は答えた。
「良い名前ね。私は好きだわ。堅実な名前だわ」
「ありがとう」
「このペンは良い印に見えるわ。でしょ?」
僕は同意した。
彼女はふたたび僕の名前を呼んで頷いた。
「あなたは、倫理学のティーチング・アシスタント、でしょ?」
「そうだよ」僕は仕方なく認めた。
「実はティーチング・アシスタントのヘッドだよ」
「本当? うそでしょ?」
「本当だよ」僕は言った。
「本当なの」彼女は繰り返した。
「ベッドに戻らない?」
僕は寝たが、頭は冴えていた。彼女の振る舞いは、僕がこの特別な場所を最初に発見した男であると思わせるものだった。



歩道は黄色っぽい色をしていた。これは、僕が元気に目覚めたことを意味する。僕はマギーを見た。赤い髪の毛は広がっていた。目はむくんでいた。いびきがひどかった。うっすらと髭が生えていた。突然にも、僕はこの女と一生を共にしたいと思った。呪われていようがいまいが。何も起きなかった。彼女は何も言わなかった。彼女は何もしなかった。何も変わらなかった。午前五時だった。僕は目覚めていた。
 マギーは一週間前に寮を出た。彼女が持ってきた箱がベッドルームの壁際に並んでいた(彼女は幅三メーター、奥行二メーターの部屋に驚くべき量の荷物を詰め込んでいた)。箱の上にはマーガレット・トゥンなにがしと書いたラベルが貼ってあった。大きな麻ひもの玉とナイフが荷物の中にあった。僕はベッドから出て、十センチの長さで麻ひもを切った。そして、彼女のベッドへ腹ばいで入った。僕の彼女はシーツの上に裸で寝ていた。
 片足は曲げて、もう片足は伸ばしていた。両足は同じ地点に至る。つまり、小麦のような黄土色の草で覆われた小さな丘、秘密の井戸(その頃は、その井戸の場所を僕だけが知っていると思いたかった)。そして、広い腹部。なめらかで、大きくて、軟らかくて、平らではない。腹部を超えるとふたつの小さな丘、愛おしくて仕方ない。その二つの丘の間に首がある。狭くて、白い小道だ。目は閉じていた。そして、目は光の加減で、茶色に見えたり、金色に見えたりすることを知っていた。彼女はリンゴのような香りがした。頬はポーチのライトのように輝いていた。髪はスペインの屋根瓦のように赤かった。この土地すべてが僕のものだ。僕は麻糸で、彼女の指を結ぼうと思った。
「何してんの?」彼女が物憂げに言った。
「忘れちゃった」
「何を忘れたの?」彼女は言った
「覚えておきたいこと」
「それじゃ、自分の指をそのひもで結んだら、どう?」
「もう一度寝よう。僕たちには長い明日がある」
彼女は腹を叩いて、すぐに、横向きになって、僕にほほ笑んだ。
「あなたの場所を開けたわ。よければ、どう、あなたの場所よ」彼女は言った。






マギーが寝ている間に、僕はベッドから這い出して、ジェイクスおじさんの青いオープンカーを取りに行った。ジェイクスおじさんは何年も前に亡くなっていて、その車を譲り受けていたが、僕はその車はジェイクスおじさんの持ち物だと思っていた。ジェイクスおじさんは、生涯、オープンカーを運転していたが、オープンカーの幌はいつも閉じていた。幌を閉じている理由を聞かれると、ジェイクスおじさんはベルギー訛りで、漫画のように、「雨が降るかもしれない。僕の上に降るなんて、とんでもないことさ」と答えた。そして、おじさんは白痴のように笑った。同じような反応を千回もしただろうか? フランスの王(ルイ十三世か、十五世)が「アプレ・モイ・レ・デルージュ(あとは野となれ山となれ)」と述べたと僕が十六歳のころの歴史の教科書に出ていた。おじさんのその笑い声は、フランスの王の言葉のように聞こえた。実際、ヨーロッパの歴史に関する限り、ジェイクスおじさんの顔はフランスの専制君主に見えた。ルイ十六世か十七世が春の終わりころにくびを刎ねられたのは、とくに満足のいくファンタジーである。
 両親の死後、姉のベスと僕は行く場所がなかった。母の兄弟のジェイクスおじさんが僕たち二人を引き取った。僕はときどきはおじさんに感謝すべきと思っている。
 その車を取りに行くことはベスと朝食を取ることを意味した(その車は彼女のアパートの駐車場に停めてあった)。その当時、ベスはそのことをとても気にしていた。
昔、昔
Ⅰ.

その家がマルガロンと呼ばれていることをだれから聞いたかは覚えていない。もしかしたら、だれも言わなかったのかもしれない。おそらく、どこかで見たのだろう。家の玄関かどこかに表札が付いていたかも思い出せない。マーガレット・タウンを訪れたころの様子ははっきりしていない。
 マルガロンへ連れて来られたことも思い出さない。(そこへ来ているのに、どのようにして来たかを思い出さないのは不思議な気がする)。他のいろいろな記憶を繋ぎ合わせて、着いたころのことを思い出すと、以下のようだった。

 湖をまたぐ橋を越えて、崖の脇に沿って車を運転している。その橋を越えると、二本の舗装されていない道に分れる。だが、二本の道は最後には同じ地点に至る。そこには源泉がある。マルガロンは、その源泉を越えた地点の二つの丘の間にある。
 マルガロンは、光の具合で、ベージュに見えたり、黄色に見えたりする。家は三階建てだが、東のほうから見ると、一階建てに見える。建て増しのため、西側は見栄えが悪い。その付近の他の家と違って、スペイン・タイルでできたマルガロンの赤い屋根は、その場所には不釣合いに見える。家の前の庭はまったく平らというわけではないが、なだらかで広い。白い小道が玄関へ続いている。その小道は、前方から見ると分からないが、後方から見ると二本に分れている。(そのうちに、プールを作ろうと計画していた)。

マルガロン家の正式な招待ではなかったため、初めのうちは彼女に任せきりだった。十分に様子を把握しなかったので、いつも目新しいものが目に付いた。湖はあったかな? 前の庭にツリー・ハウスはあったかな? 洗面所は三階だったかな?
 マルガロンの家はなじみやすく思えたし、たぶん、女性たちも同じような感じだった。


事故を起こした後、一週間かそこらして気がついたときには、僕はマルガロンの一階にいた。そこは客用の寝室だと思っていたが、後になって、そこはマージの部屋だと分かった。だが、マージはその部屋を気持ちよく貸していたわけではなかった。
 足は柱に吊り下げられていて、ベッドの脇に年老いた女性が座っていた。
 その女性はかなり年配で、僕にとって女性だと思える年齢を超えていた。百歳近くではないかと思った。目は淡い茶色で、本物の歯は黄色で、入れ歯は真っ白だった。爪は長くて、先を鋭く尖らせていた。とても痩せていて、黒っぽいツイードのスーツを着ていた。そして、ストッキングと黒い矯正用の靴を履いていた。清潔に見えたが、老齢によるカビ臭さが身の回りに漂っていた。歳にふさわしくないエンジ色の口紅をつけていた。その口紅のため、彼女の口はいくぶんか不釣合いに見え、不自然な感じで若く見えた。
「私はオールド・マーガレットよ」と彼女は言った。
「僕は、、、」
僕がしゃべろうとするのをさえぎって、
「あなたのことは知っているわ」と彼女は言った。
「マギーと関係があるんですか?」と僕が尋ねると、
「関係があるわ」と彼女は笑った。
彼女の口元を見ながら、
「あなたとマギーの関係のことを言っているのですが」と僕が言うと、
「あなたは、また、ここへ来るの? どういうつもりで、マギーの指に糸を巻きつけたの?」と彼女が尋ねた。
「つまり・・・、マギーはそのことをあなたに話したのですか?」と僕は切り出した。
「もちろん、からかっているだけよ」と彼女は笑ったが、僕はその言葉に少しだけ圧力を感じた。
「たばこを吸ってもいい?」
僕がうなずくと、
「このことは、だれにも言わないでね」と彼女は言った。
オールド・マーガレットは窓を開けて、たばこに火をつけた。
「グレタはとても古いタイプなので、あなたにたばこの火をつけさせるはずよ。でも、私はそんなには古いタイプではないわ。もちろん、あなたが火をつけてくれるなら、それはそれでかまわないけど。そのほうが紳士的よ。でも、あなたはそのようには見えないわ。私たちには妥協が必要なようね」
グレタとは、一体だれだろうか、マギーも歳を取るとこんな様子になるのかな? と僕が考えていると、
「いいえ、マギーはたばこを吸わないわ。私は十三歳の時からたばこを吸い始めた。とても早かったのよ。そのころは、癌や肺気腫やその他の馬鹿げたことも、私たちは気にかけなかった。私はまだ七十七歳よ。でも、私はもっと老けていると、あなたが考えていると、私には分かるわ。私たちは年齢を当てるのが得意なだけよ。他のだれであっても、老けて見えたり、若く見えたりするわ。ある意味で、ちょうど私たちの年齢がもっとも人間らしいのかもしれないわ」。
僕が声を出して話したのかな? と思っていると、
「私は人の心を読むことができるのよ」と彼女が答えた。
「その変化が起きた後から、私にはその能力がついた。さらには、人の感情を読む能力もついたのよ。実際は、これらは同じ能力なのかもしれないけれど」。
彼女は空気の匂いをかぎながら、
「あなたは怪我をしている匂いがするわ。でも、たいした怪我ではないのは明らかよ。脚を怪我しているの?」と彼女が言った。
「それほどひどくはないです。不快ではありますが」
「鎮痛剤をたくさん飲ませたのでしょうね。そろそろ痛みが出てくるわ。私は人工股関節に置きかえる手術をしたので、その辺の事情は分かっているわ」と脚を吊り下げている柱を叩いた。
「あなたは、少なくとも二週間は寝ていなくては駄目でしょうね。マギーが言っていましたよ。あなたが退屈しないように、私たち独身女性が楽しませてあげられば良いなと思っていますよ」
「ところで、あなたはだれですか?」
「オールド・マーガレットよ」
理解するのがなんと遅いのだろうと言いたげに、彼女は繰り返した。
「マギーがあなたの名前をつけたのですか?」
「マギーが私の名前をつけた、ですって?」
「はい、僕はそう思いました」
「あなたは、マギーのおばあさんですか?」
「私が若すぎて、マギーのおばあさんには見えないのかな?」
「いいえ、そうではありません」と僕はゆっくり返事した。
オールド・マーガレットはため息をつきながら、
「私がマギーのおばあさんだって。なんてひどいんでしょう」と言った。
オールド・マーガレットは少しボケているのかな。
「私はボケてはいません。そんなことを言うなんて、無礼すぎるわ」と彼女は言った。
「そうは言っていません。思っただけです」と僕は抗議した。
「その違いを区別できないときもあるわ。この件については、互いに譲歩が必要なようね。あなたが、実際にそう言ったのなら、それは私をひどく傷つける。でも、そう思っただけなら、痛みは少ないわ」
そのふたつの違いが僕にはよく分からなかった。
「つまり、あなたが声を出して言ったなら、あなたは私を傷つけたでしょう。私たちは自分が思っていることを、それほどうまくは扱えないのよ。例えば、私がこの部屋に初めて入ってきたとき、私がかび臭いと、あなたが考えたことを私が知ったら、それも私の気分を害したかもしれないわ。でも、気分を害しながら、生涯をすごすような人がいますかね?」
「ごめんなさい」
「ところで、モスボール(防虫剤)のことなんですけど。私は六十五歳を過ぎてから、それまでには経験したことがなかったモス・プロブレム(虫の問題)が悩みのタネになったわ。この問題について、あなたはどう思う?」
「僕には分かりません」
「若い人には、何故モス・プロブレムがないのでしょうね? 老人にはモスはベッドの友なんだけど、そうは思わない?」と彼女が尋ねた。
「すみませんが、少し疲れました」と僕は答えた。
「そうですか、分かりました。気がきかなかったわね」と彼女は言って、たばこを取り出して、足を引きずりながら、ドアの方へ歩いていった。彼女には人工股関節手術の後遺症が残っていて、明らかに足を引きずっていた。
「ここにはだれが住んでいるのですか?」と僕は尋ねた。
「私、マージ、ミア、メイ、そして今はマギーが戻っているわ。おそらく、メイはそれほどみかけないでしょうね。彼女は外が好きだから。かつては、もうひとりいたのですが、行ってしまった。決して戻らないと思うわ。行ってしまった」
「ここにいる人たちは、マギーの」僕は思い出そうとした。「おばさんたちですか?」
「そうよ」と彼女は言った。
「あるいは、そのようなものだわ。私のおしゃべりで、疲れさせてごめんなさいね。少女のころは、私はとても静かだと見られていたのよ。とても不思議なんだけど、年老いた今は、とてもおしゃべりになったわ。」
 彼女は優しくドアを閉めた。実際、ドアを閉めるのに、十分くらいかかったような気がした。ジェーン、もしかしたら、ドアをパタンと閉めたほうが、良かったのかもしれない。