アラビアンナイト
~ペルシャの王と海の王女
作者 不詳
訳 青柳洋介
昔、ペルシャに王がいました。御代の初めに多くの輝かしい勝利をおさめました。その後は、平安を謳歌したので、もっとも幸福な王と呼ばれました。王の唯一の気がかりは世継ぎがいないことでした。都では、王室の慣例に従って、廷臣たちを集めて、催しを開きました。大臣と名高い人たちが集まりました。その中に、はるか遠い国から来た商人がいました。商人は、とても大事な件があると、王への謁見を懇願しました。王はただちに商人の謁見に応じました。催しが終わると、廷臣たちは退きました。王はどんな用件を持ってきたのかと商人に尋ねました。
「陛下、ご覧ください。私は美しく魅力的な奴隷を連れて参りました。この世の隅から隅まで探しても、見つからないほどです。この奴隷をご覧になれば、きっと妻にしたいとお思いになるでしょう」
と商人は答えました。
王の命令に従って、この美しい奴隷はただちに召し入れられました。王は、奴隷を見ると、その美しさと気高さに圧倒されました。そして、恋の虜になり、すぐに結婚すると決めました。そして、結婚しました。
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