青猫書房?
猫街? だれだっけ?
下北沢近辺にも住んでいた・・・
萩原朔太郎 猫町 散文詩風な小説 - 青空文庫
私はすべての印象を反対に、磁石のあべこべの地位で眺め、上下四方前後左右の逆転した、第四次元の別の宇宙(景色の裏側)を見たのであった。
蠅 を叩 きつぶしたところで、
蠅の「物そのもの」は死には
しない。単に蠅の現象をつぶ
したばかりだ。――
ショウペンハウエル。
1
旅への誘 いが、次第に私の空想 から消えて行った。昔はただそれの表象、汽車や、汽船や、見知らぬ他国の町々やを、イメージするだけでも心が躍 った。しかるに過去の経験は、旅が単なる「同一空間における同一事物の移動」にすぎないことを教えてくれた。何処 へ行って見ても、同じような人間ばかり住んでおり、同じような村や町やで、同じような単調な生活を繰り返している。田舎 のどこの小さな町でも、商人は店先で算盤 を弾 きながら、終日白っぽい往来を見て暮しているし、官吏は役所の中で煙草 を吸い、昼飯の菜のことなど考えながら、来る日も来る日も同じように、味気ない単調な日を暮しながら、次第に年老いて行く人生を眺 めている。旅への誘いは、私の疲労した心の影に、とある空地 に生 えた青桐 みたいな、無限の退屈した風景を映像させ、どこでも同一性の法則が反覆している、人間生活への味気ない嫌厭 を感じさせるばかりになった。私はもはや、どんな旅にも興味とロマンスをなくしてしまった。
猫街? だれだっけ?
下北沢近辺にも住んでいた・・・
萩原朔太郎 猫町 散文詩風な小説 - 青空文庫
私はすべての印象を反対に、磁石のあべこべの地位で眺め、上下四方前後左右の逆転した、第四次元の別の宇宙(景色の裏側)を見たのであった。
猫町
散文詩風な小説
萩原朔太郎
蠅の「物そのもの」は死には
しない。単に蠅の現象をつぶ
したばかりだ。――
ショウペンハウエル。
1
旅への
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