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2015年6月15日月曜日

ペルシャ王と海の王女

作者不詳

英文で、ざっと読んで、途中まで翻訳したが、もういいやと言う感じです。


ペルシャに王がいた。妻がいなかった。

商人が連れてきた美しい奴隷に一目ぼれして、結婚した。

奴隷は海の王女だった。

世継ぎが生まれた。世継ぎは順調に育って、王の跡を継いで即位した。

王は死んだ。

新王の嫁取りが始まった。嫁取りは困難を極めた。姫君は海の王女のひとりだった。

新王は魔法を書けえられて、白い鳥になった。捕えられて、売られたが・・・

どういう経緯か忘れたが、魔法は解けた。

そして、帰途に着くが、遭難して、変な島に漂着した。

だが、なんとか帰国して、姫君の愛を獲得して、結婚した。

めでたしめでたし。


アラビアンナイト
~ペルシャ王と海の王女


作者 不詳
訳 青柳洋介


 昔、ペルシャに王がいました。御代の初めに多くの輝かしい勝利をおさめました。その後は、平安を謳歌したので、もっとも幸福な王と呼ばれました。王の唯一の気がかりは世継ぎがいないことでした。都では、王室の慣例に従って、廷臣たちを集めて、催しを開きました。大臣と名高い人たちが集まりました。その中に、はるか遠い国から来た商人がいました。商人は、とても大事な件があると、王への謁見を懇願しました。王はただちに商人の謁見に応じました。催しが終わると、廷臣たちは退きました。王はどんな用件を持ってきたのかと商人に尋ねました。


 「陛下、ご覧ください。私は美しく魅力的な奴隷を連れて参りました。この世の隅から隅まで探しても、見つからないほどです。この奴隷をご覧になれば、きっと妻にしたいとお思いになるでしょう」


と商人は答えました。


 王の命令に従って、この美しい奴隷はただちに召し入れられました。王は、奴隷を見ると、その美しさと気高さに圧倒されました。そして、恋の虜になり、すぐに結婚すると決めました。そして、結婚しました。


 王は自分の部屋の隣にその美しい奴隷を住まわせました。そして、召使いたちに命じて、もっとも高価な服を着せ、もっとも立派な真珠の首飾り、もっとも美しいダイヤモンド、その他の宝石など、奴隷が望むものを選ばせました。
 ペルシャ王の都は島の中にありました。荘厳な宮殿は海岸に建っていました。王の部屋の窓は海に面していました。そばにある美しい奴隷の窓からも同じ眺めでした。壁の下の方が波打ち際だったので、一層心地よかったようです。三日目が経って、素晴らしい装束に身を包んだ美しい奴隷は窓のそばのソファにひとりで座っていました。王が訪れると知らせがありました。王が入ってきて、足音がしたので、美しい奴隷は振り返って見ました。奴隷はそれが王であると分かりました。しかし、奴隷は少しも驚かずに立ち上がってあいさつしました。でも、すぐに窓の方を向いて王に背を向けました。まるで、王が大事な人物でないかのようでした。
 奴隷がとても麗しくて無心だったので、王はとても驚きました。奴隷のこのような態度は、教育やしつけを受けていないからだと王は思いました。王は窓のそばにいる奴隷のところへ行きました。奴隷の態度は冷淡で無関心でしたが、王が望むように接吻と抱擁を受け入れました。だが、奴隷は一言の返事もしませんでした。王は言いました。


  「いとしい人よ、あなたは返事もしなければ、聞いているそぶりも見せない。どうして、あなたは頑なに沈黙を守るのだ。私は滅入る。あなたは喪に付しているのか? あなたの国で友や親類を亡くしたのか? 悲しいかな! ペルシャ王はあなたを愛して敬っている。慰めることもできるし、あらゆる償いもできる」


 だが、美しい奴隷は沈黙を守り続けて、目を足元に落としまま口を開きませんでした。完全な沈黙の中で、ふたりは食事を共にしました。王は美しい奴隷に侍従を付けました。そして、奴隷が口を開いたか侍従に尋ねました。侍従のひとりが答えました。


  「陛下、陛下とご同様に、私たちはお妃さまが口をお開きになったのを見たこともなければ、お話になるのを聞いたこともございません。私たちはお妃さまのお世話をしております。くしをお入れして、お髪をご結いします。お召し物をお着せします。お妃さまのお部屋で侍っております。しかし、お妃さまはお口をお開きになりません。それが良い。これが好きだなどとは言われません。私たちは、お妃さま、何か欲しいものはございますか?何かお望みのことがございますか?と、たびたび、尋ねます。お妃さまは私たちにご命じになることもありません。お妃さまの口から一言も引き出すことはできませんでした。お妃さまの沈黙の理由が自負心なのか、悲しみなのか、愚鈍なのか、聾唖なのか、私たちには判じかねます。陛下にお伝えできるのはこれだけです」

 ペルシャ王は、この話を聞いて、さらに驚きました。美しい奴隷が話さない理由は悲しみからだと信じて、慰めたり楽しませようとしましたが無駄でした。丸一年、奴隷は一言もしゃべりませんでした。

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