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2015年4月21日火曜日

IoT革命

これは重要です!


[東京 21日 ロイター] - コンピューターなどの情報通信機器だけでなく、機械や場所や環境など社会のあらゆる要素がインターネットでつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)。世界の産業覇権の行方を握る新しい動きとして、各国が産官一体の態勢を組んで、新技術や新製品の開発に力を注いでいる。
その中でも積極的なのがドイツと米国だ。ドイツは「インダストリー4.0」として官民を挙げて普及活動を推進する一方、米国も「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム」(IIC)を結成、主導権をかけた争いが始まっている。
日本でも個別企業の取り組みが始まっているものの、国家レベルでの議論は遅れ気味だ。今月15日、産業構造審議会はIoT施策に関する報告で、「日本は既存ビジネスのやり方に固執していては変化に対応できない」と指摘、国際競争力の低下に危機感を示した。
世界的な規模で大きなうねりを見せるIoTの潮流を日本はどう活用すべきか。専門家の議論を通して、今後の課題を探った。
IoTについて日本の取り組みが欧米より遅れている理由は何か。アクセンチュアの立花良範・マネジング・ディレクターは、ロイターとのインタビューで、日本企業が膨大な顧客データを把握しながら、その活用を進めてこなかったため、と指摘する。
その活用の決め手となるのは「3つのD(デバイス、データ、デザイン)」。同氏はIoTが持つ市場拡大への潜在力を強調するとともに、業界再編に火をつける可能性を指摘した。
立花氏は、同社デジタル・コンサルティング本部にて、デジタル戦略の立案からデジタル技術の導入、デジタルプロセスの委託運営までを手掛けている。

──日本社会の課題を解決するツールとして、IoTに何を期待できるのか。
「IoT活用に関して日本は欧米にやや後れをとっているものの、製造業をはじめとした日本の産業競争力を強化するため、また高齢化などの社会課題の解決につながる動向として、より積極的効果の検証、導入局面にきている」
「すでに日本企業でも、先端的な取り組み事例はいくつかある。コマツ(6301.T: 株価ニュースレポート)は、鉱山用建設機械の位置情報や稼働状況データなどを活用し、鉱山経営の効率化を実現しており、トヨタ自動車(7203.T:株価ニュースレポート)も自動運転の実験に取り組んでいる」
「また日産自動車(7201.T: 株価ニュース,レポート)と損害保険ジャパン日本興亜(8630.T: 株価ニュースレポート)は、一部車種で走行データから個々のドライバーに応じた自動車保険料率を設定する仕組みや、急発進や急減速などのデータから、エコ・安全運転度合いを診断するサービスなどを実用化している」
「ただ、日本企業は、顧客基盤も製品・サービスの使用状況に関するデータも把握できていながら、十分な活用に至っていないことが多い。家電や自動車は、今や電子部品の塊であり、メーカーはその稼働や利用状況についてのデータを把握できているにも関わらず、どう活用すればよいか悩んでいる状況だ」
──その活用には何が必要で、どういった業種が主導役になるのか。
「キーワードは3つのDだ。通信キャリアや半導体メーカーなどが提供する『デバイス』と、ソーシャルメディアやポイントプログラムなど、個客の行動が直接反映されている『データ』、そして小売や電力・ガス会社など、顧客と直接接点を持つ企業がデジタルを活用して、より革新的なサービスを『デザイン』すること」
「デジタルビジネスは、様々な業界や、人と機械、リアルとバーチャルなどが既存の垣根を越えて形成されていく。データを活用して、顧客が望む成果を提供するためには、個社や業界の枠を超えた横断的なプラットフォームを構築することが必要となる」  「企業がIoTを活用していく過程では、消費者の視点からの業界再編が起こるだろう」
──政府にとっても、次世代交通システムや医療・介護の高度化、エネルギーの効率活用など政策面でのIoT活用が課題だ。どのような役割を果たすべきか。
「1つはセキュリティ対策だ。個人情報の活用を緩和すべきところは緩和しつつ、個人が知られたくない情報はしっかり保護されるように、行政が対応する必要がある。2つ目は特区の活用だ。全国区ですぐに実施が難しい施策は、先駆的に法制上の融通をきかせやすい特区の活用が有効だ。3つ目は行政データの公開。マイナンバー制度も導入されるが、民間企業が行政データをさらに有効に活用できれば新しい価値の創造を促進することができる」
*インタビューは14日に行いました。
(中川泉 編集:北松克朗)

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