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2015年6月23日火曜日

財とサービス

財(ざい、英: good(s))とは、経済学において物質的・精神的に何らかの効用を持っているもののことである。

また、そのようなものの中で有形ものを財、無形なものをサービスと呼び、財とサービスと表現する場合もある。

財とサービス[編集]

所有権の移転を伴うものは財、そうでないものはサービスとして区別することができる。たとえば海外旅行などで飛行機に乗るときには、飛行機を財として購入するのでなく、サービスとして利用していることになる。


経済学で議論される財[編集]

経済財と自由財[編集]

経済財
希少性があり、需要と供給のバランスが取れているかややバランスを欠いて価格を有する財。

自由財
希少性がなく、需要よりも供給が遙かに上回っており、すなわち価格を有しない財。

私的財と公共財[編集]

私的財
自分が消費すれば他人の消費量を減少させる競合性、対価を支払えば他人を排除できる排除性をともに備えた財。

公共財
あるいは所有権が私有か公有かの違い。

投資財と消費財[編集]

投資財(資本財)
中間投入財
消費財
そのまま、使用されてしまう財と、財を生み出すための財の違い。原材料(中間投入財)は投資財に含まないが、投資財は長い目で見れば原材料に近い。



上級財と下級財[編集]

上級財
上級財とは、所得効果によって、所得の増加にともない需要が増加していく財である。

劣等財(下級財)
所得の増加に伴い、需要が減少していく財である。例えばインスタントラーメンは所得が増えるほど他のより高級な食品に代替され、消費が減るので劣等財に含まれると考えられる。品質が劣るという意味はない。

ギッフェン財
下級財の一種で、所得効果が代替効果よりも強く働く。


代替財と補完財[編集]

代替財
ある財の代用となる財。代替効果によって、一方の価格上昇が他方の需要量を増大させるような財。例として、コーヒーと紅茶はお互いに代替財の関係にある。

補完財
粗補完財
一方の財の消費が増えるにつれ、他方の消費も増えるという補完的関係にある財。例として、パンにつけるジャムなど。


代替効果と所得効果[編集]

ある財X、その補完財Y、その代替財Zを仮定する。代替効果のみを考慮した場合、財Xの価格が下落すると、補完財Yの需要は増大し、代替財Zの需要は減少する。逆に財Xの価格が上昇すると、補完財Yの需要は減少し、代替財Zの需要は増大する。

これに所得効果を加えたとき、補完財Yが下級財であるか、代替財Zが上級財の場合、所得効果が逆向きに作用する。そのため、その総効果は、代替関係や補完関係の強さによって変わってくる。


前近代における財の位置づけ[編集]

平安末期から用いられ続けた学問と道徳を説いた教科書『実語教』では、「富は、これ一生の財、身滅すれば、すなわち共に滅す。智は、これ万代の財」と位置付け、富=物質的な財は個人的な繋がりでしかなく、残ることはないが、知識・知恵といった財は社会や一族が持続する限り残り続けると定義している。すなわち、教養こそ財として重きを置くべき(精神的財を貴べ)とする教育がなされていた。

また、中世における財産目録の文書研究から、鎌は財に数えられなかったと考えられており、消耗と消費が激しいために、古くから多くの人に用いられ続けた道具にもかかわらず、家財としての価値が認知されず、除外されていた(当時は使い古された鉄器は鋳潰され、リサイクルされた)。このように、人間生活にとって、深く効用のあるものでも、時代によって、財とはならない例がある。



サービス(英: Service)は、経済用語において、売買した後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、形のない財のことである。第三次産業が取り扱う商品である。法令用語では、役務(えきむ)[1]ともいう。

特性[編集]

同時性(simultaneity)
売り買いした後にモノが残らず、生産と同時に消費されていく。

不可分性
生産と消費を切り離すことは不可能である。

不均質性/変動性(variability)
品質は一定ではない。

無形成/非有形性(intangibility)
触ることができない、はっきりとした形がないため、商品を購入前に見たり試したりすることが不可能。

消滅性(perishability)
形のないものゆえ、在庫にすることが不可能である。

以上の性質が全てに当てはまるわけではない。[2]

例えば、エンターテインメント産業(音楽、映像など)において、ライブパフォーマンス以外は同時性、不可分性を満たさない。
修理、メンテナンス、クリーニングなどでは品質が標準化されることがある。
情報産業ではサービスを形にして在庫にすることができる。

サービス業、サービス産業[編集]

サービス業(サービス産業)はサービスを取り扱う産業のことであるが、その範囲は、使用される状況や資料によって異なる。
広義のサービス業は、第三次産業と同義である。

例えば、第637回統計審議会では、「第一次産業、第二次産業に含まれないその他のもの全てを第三次産業として、サービス産業としている」とある。また、経済産業省産業構造審議会サービス政策部会の中間報告書では、「サービス産業は第三次産業と同義で、エネルギーや通信、運輸や卸・小売等も含む」とある。

また、形のない財をサービスと呼ぶことから、形のある財を取引する卸売業・小売業を除いた第三次産業を指して、サービス業と呼ぶこともある。

狭義のサービス業は、第三次産業をいくつかに分類したときに、その分類に当てはまらないもの全てを総称して呼ぶ。そのため、「○○以外」という表現を用いないで、狭義のサービス業を定義することは不可能である。

日本標準産業分類では、第三次産業のうち、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、飲食店、宿泊業、医療、福祉、教育、学習支援業、複合サービス事業、公務に分類されないものを指す。

種類[編集]

下記に順不同で列挙するが、まさに多様といえる。

宿泊サービス
レジャーサービス
金融サービス
教育サービス
情報サービス
医療サービス
レンタルサービス
専門技術サービス
アウトソーシングサービス
郵便
運輸(物流)
交通
通信
外食
エネルギー
エンターテイメント
コンサルティング

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