主な戦略は小型店を郊外に出店する。
鳥貴族 “驚き”で逆風に立ち向かう
2020年8月18日 18時36分
新型コロナウイルスの感染が再び広がるなか、居酒屋業界には過去、経験がないような逆風が吹き荒れています。外食の自粛、自治体からの営業時間短縮や休業要請。繁華街でよく見かける焼き鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」も例外ではありません。創業者の大倉忠司社長にインタビューして、この逆風にどう立ち向かおうとしているのか、心の持ちようを聞きました。(大阪放送局記者 甲木智和)
コロナ禍でも新たな挑戦
新型コロナウイルスの逆風にさらされるなかでも大倉社長は新たな仕掛けを導入。ことし6月に新たな形態の店舗をオープンしました。特徴はサイズが小さいこと。座席はカウンター中心で18席しかありません。
ねらいは2つあります。1つは従業員の独立心を支援し、やる気を引き出すこと。鳥貴族では将来、独立して店のオーナーになりたいと夢をもつ従業員が少なからずいるそうです。通常の店舗は個人で投資するには規模が大きすぎます。小さい店舗であれば初期投資が少なくて済み、独立を後押しできるというのです。
もう1つのねらいは新たな市場の獲得です。大型の店舗であれば大勢の客が見込める繁華街に出店せざるをえませんが、店のサイズを小さくしたことで比較的人口の少ない郊外エリアの市場も取り込もうというのです。焼き鳥店ならでは、まさに「一石二“鳥”」戦略ともいえます。
大倉社長
「小さい店を1店舗でもずっと経営していきたいんですという従業員が案外いたので、社員に働きがいをもってもらうためのコースをつくってあげたいという思いでした。社員が幸せでなければお客様を幸せにできないし、会社は成長しないとずっと思っています」。
危機のときこそ創造力を
厳しい経営環境が続く中、どのように前を向けばいいのか。大倉社長が大事にしている考え方を聞きました。
大倉社長
「楽観的と悲観的、その両極端を絶えず持つようにしています。経営者ですし最悪のシナリオは考えますが、その反面、このピンチを逆にどうチャンスにしようかと。平穏に経営していたら出なかった発想、危機だからこその新たな発想、それがなにかを考えると逆にワクワクします。それと座右の銘は『わがはからいにあらず』という親鸞のことばです。今の自分があるのは他人のおかげで、自分1人の力ではない、自分1人では経営1つできないという感謝の気持ちも強くなりました」。
次なる挑戦は
大倉社長は今、新たなビジネスの柱を立ち上げようと検討を進めています。詳細は明らかになっていませんが、これまでの強みをいかした新しい形を模索するとのこと。コロナショックに屈することなく、危機時にワクワクする心の持ちよう、おおいに見習いたいと思いました。
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