全米の死者 累計20万人超える 新型コロナウイルス
2020年9月23日 5時07分
アメリカで、新型コロナウイルスに感染して死亡した人の数が22日、20万人を超えました。ことし11月の大統領選挙を前に野党・民主党のバイデン候補は政府が効果的な感染対策をとらなかったことが事態の悪化を招いたとしてトランプ大統領を強く非難するなど、感染への対応が争点となっています。
ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、全米から報告された新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の数の累計が22日、20万人を超えました。
1日当たりの感染者数は8月に入って減少傾向となったものの、9月中旬から、中西部のウィスコンシン州やミネソタ州、南部テキサス州などで感染者が増加したことで再び増加傾向に転じていて、依然、深刻な状況です。
ワシントン大学の研究所はこの状況が続けば、死者は来年1月1日までに37万8000人に達する可能性があるとしています。
感染抑制の見通しが立たない中、野党・民主党は政府が各州に対策を任せ、効果的な感染対策を率先して打ち出さなかったことが事態の悪化を招いたとして、トランプ政権の対応に批判を強めています。
民主党のバイデン候補は20日、「トランプ大統領はウイルスの脅威を過小評価するだけでなく、感染を制御する計画も能力も持ち合わせていない」と非難しました。
一方、トランプ大統領はこうした批判に対し、「対応に誤りはなく、多くの命が救われた」と反論していて、11月の大統領選挙に向けて、新型コロナウイルスへの対応が争点となっています。
米政府の対応 医療専門家からも批判
これまでのトランプ政権の感染対策には医療の専門家からも批判が上がっています。
アメリカでは、ことし1月から2月にかけてCDC=疾病対策センターが各州に検査キットを配布しましたが、検査結果が不正確なことがわかり、感染拡大を早期に検知できなかったことが急速な感染拡大の一つの原因だとされています。
しかし、トランプ大統領は「ウイルスは奇跡のように消え去るだろう」といった発言を繰り返し、危険性と対策を訴える専門家の警告を無視してきたと批判されました。
また、感染が広がり、各州が外出や経済活動の制限を行ったあとも、経済活動の再開や、学校の対面授業の再開を急がせる一方で、マスクの着用の義務化や屋内での集会の制限などに明確な方針を示してきませんでした。
こうした中、8月から9月にかけて対面での授業を再開した高校や大学で集団感染が相次いで起きているほか、中西部サウスダコタ州で8月開かれたオートバイの愛好家が集まるイベントの参加者を発端として集団感染が起き、州をまたいだ感染拡大も起きています。
また、西部ネバダ州で開かれたトランプ大統領の政治集会には州の指針に違反して、屋内におよそ5000人が集まりその多くがマスクを着用していなかったと報じられていて、野党・民主党の州知事は大統領陣営が感染対策に従わなかったことについて、強く非難しました。
政権の感染対策について、ジョンズ・ホプキンス大学のアメシュ・アダルジャ上席研究員は「トランプ大統領は新型コロナウイルスの影響を過小評価し、科学に基づいた感染対策を示してこなかった。リーダーシップの欠如がアメリカをこのような状態に追い込んだ」と厳しく批判しています。
一方で、トランプ大統領の支持者の中には一部の州の新型コロナウイルス対策は過剰だと批判したり、マスクの着用の義務化や経済活動の制限に反対したりする人も多く、感染対策は政治的な対立にもつながっています。
ワシントンでは追悼集会
アメリカの首都ワシントンでは、新型コロナウイルスに感染して死亡した20万人を追悼する催しが開かれ、参加した野党・民主党のペロシ下院議長はトランプ政権の対応を非難しました。
この催しは、アメリカの市民団体の呼びかけで22日開かれ、ワシントン中心部の「モール」と呼ばれる広場の芝生には、新型コロナウイルスの死者の数の10分の1にあたる2万に上る小さなアメリカ国旗が立てられました。
参加した野党・民主党のペロシ下院議長は、「これらのアメリカ国旗は大勢の死者と遺族の苦しみを象徴している。もし科学に従っていれば、今回のような事態は避けられたはずだ」と述べ、科学者の意見を軽視したとしてトランプ政権の対応を非難しました。
参加した女性は「まだ感染は終わっていない。トランプ大統領は終わったかのようにふるまっているが、われわれは政府の真剣な行動を必要としている」と話していました。
主催した団体は、「トランプ政権は追悼式などもせず、深刻な事態ではないかのように装っているので、今回の催しを開いた」と説明しています。
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