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2020年7月12日日曜日

レジリエンス(アマテラス政府)

「レジリエンス」(resilience)は、一般的に「復元力、回復力、弾力」などと訳される言葉で、近年は特に「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力」という心理学的な意味で使われるケースが増えています。さらにレジリエンスの概念は、個人から企業や行政などの組織・システムにいたるまで、社会のあらゆるレベルにおいて備えておくべきリスク対応能力・危機管理能力としても注目を集めています。

ある体系が機能し続け,攪乱から回復する能力。頑健性ともいう。生態学的には,生態系が攪乱によって損傷を受けたあとに,通常行なわれていた物質循環やバイオマス生産を維持し続ける能力をさす。攪乱の要因がハリケーンや火山噴火などの自然事象であれ,魚の乱獲や環境汚染などの人的影響であれ,生態系が攪乱から回復する能力を失えば,食料,清浄な水,環境美など,人間がその生態系から得る利益がそこなわれる。そのためレジリエンスの概念は,おもに環境保全管理の分野で用いられてきた。環境保全においては,特にその生態系が崩壊するリスクを防ぐ,あるいは攪乱から回復させる能力をもつものを特定することが重要になる。レジリエンスの決定要因としては,種や集団,個体といった個々の構成要素の多様性や不均一性,景観特性,生態的地位が重複した種が複数いるといった冗長性,構成要素が自律しているといったモジュール性などが考えられる。たとえば,景観特性に応じて森林の各区画を分断する防火帯を設置すれば,生態系を維持したまま山火事の森林全体への延焼を防ぐことができる。また,生態系の管理のためには,富栄養化や砂漠化,漁場の崩壊などの攪乱の始まりを予測する統計上の変動や相関性といった,早期警戒指標の特定も重要になる。このような考え方や手法は,近年では生態系の管理だけでなく,片頭痛や心疾患の発症機序といった医学研究や,気候変動研究,金融制度や市場の運用にも応用される。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

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